「インターネット時代に顧客とつきあう」 株式会社ドモドモコーポレーション 代表取締役 遠田幹雄 1.インターネット通販の常態化 クリックだけでモノが買える時代になった。ホームページ画面で希望する書籍を見つけて1回クリックすれば、数日後に自宅にその注文書籍が届く。決済はクレジットカードで後払い。送料無料。これはアマゾンドットコムというインターネット通販サイトのことだ。かなり有名なのでご存知の方も多いことだろう。 書籍以外でもかなりのモノがインターネットで購入できるようになった。家電製品、玩具、食品、農産物など、気に入ったモノを探し買うことがコタツに入ったままできるようになった。インターネット通販サイトは今後もますます増えていくだろう。 この背景には生活者のIT利用の常態化がある。総務省の調査によると30歳台のインターネット利用率は51.7%と半数以上。これは平成12年のデータで、最近は女性のインターネットデビューが男性より多い傾向だ。購入決定権限を持つ女性にシフトするこの後、さらにインターネット通販サイトは増えると予測できる。 2.農家の通販サイトは誰が顧客か? 「なんとしても農産物の通販サイトを立ち上げなければならない」と言う農家が増えた。「世の中IT、ITと騒がしい。うちもやらなきゃ時代から取り残される。」…と。国民総IT化の波が来ているからそう思うのも無理はない。悲壮感すら漂う不安な決意の表情を見ると同情してしまう。 ちょっと待って! 失敗して欲しくないから言っておきたい。取組みの前に「誰が顧客なのか、よく考えて」。これが私からのお願い。 まず「通販」というビジネスモデルの特徴を考えてみよう。通販のもっとも大きな特徴は「非現物確認購買」。つまり現物を手にとって見ることができないのに購入することだ。 特に購買経験がない商品や初めての店で、顧客は慎重になる。商品は大丈夫か。お金を払っても商品がちゃんと届くかどうか。この壁を乗り越えて購買という意思決定のクリックをしてもらうためにもっとも重要なことが信頼を得ることだ。 顧客は、信頼がないと判断した通販サイトから何も買わない。つまりいきなり現れた地方農家の通販サイトからモノは買わないという予測が立つ。 3.信頼は「長いおつきあい」から 通販で成功するためのは信頼を得なければならない。有効といわれるものに、@情報の詳細な提供、A顧客便宜への配慮、B迅速な業務処理、C実績、などがある。 これらをひっくると「よく知っている店」と言えないか。その顧客にとってよく知っている店は安心だし、特別扱いしてもらえる信頼できる「マイブランド」だ。長い間の継続購買がマイブランドを構築する。 地方の農家を最も信頼してくれるのは、マイブランドとして農家を認識してくれる既存顧客だろう。通販ビジネスへの参入は、この既存顧客を大事にする顧客満足度向上策からスタートして欲しい。 なお通販サイト立ち上げ時に陥りがちな罠は割引サービス。既存販売価格より通販サイトの販売価格を安くすると、既存顧客との信頼を破壊する。注意されたし。
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