ミニノートパソコンのカテゴリでは複数のメーカーから新製品が出て急激に普及し始めた感がある。工人舎も魅力的だったがEeePCの5万円台のミニノートパソコンPC901もすばらしい。電池で8時間駆動、重さ1キロ程度、HDD無し(フラッシュメモリドライブ)なので衝撃に強いなど特長は盛りだくさんだ。
ところで、ミニノートパソコンはこれまでのモバイルノートパソコンの使い方と一線を画す。5万円台のミニノートパソコンの出現は、中小企業のIT活用法をも変えてしまうかもしれない。中小企業のクラウドコンピューティングを促進する可能性を感じる。
クラウドコンピューティングとは、インターネット活用モデルのコンセプトであり、利用者はネット上の複数の情報サービスやアプリケーションサービスを活用できる。単純化して言い切れば、ブラウザさえ使えればネット上のサービスでなんでもできるというイメージだ。表計算ソフトもワープロもメールも企業内のグループウェアもすべてブラウザの中で動く。
となれば、PCの中に重いプログラムは必要ない。ブラウザが動くだけのOSがあればいいということになる。
利用者が記録するデータ部分もネット上の安全な場所に記録することができる。データは自分のPCに置くこともできるが、ネット上に記録するほうがクラウドコンピューティング的である。
セキュリティ面でネット上のデータ保管は危険だという指摘もある。しかし逆に安全性が高まる点もある。突然PCが壊れても、PCが盗難にあっても、データはPCから隔離されているからデータ漏洩の危険性は少ない。
NHKが10月15日に「クラウドの衝撃」を放映した。午後7時半からのゴールデンタイムでクローズアップ現代という人気番組での扱いである。
10月15日(水)放送
新情報革命“クラウド”の衝撃
パソコンにソフトをインストールしなくても、ワープロや表計算、高度な画像加工まであらゆる作業を行うことができる。そんな時代を実現するクラウドコンピューティングという仕組みが広がっている。あらゆる情報処理をインターネットの向こう側「クラウド=雲」にある巨大コンピューターに一手にゆだねようというものだ。ユーザーはネットを通じて「クラウド」にデータを預けるだけで済むため、ソフトは不要になるともいわれている。
米国のセールスフォース社はクラウドを通じてビジネス分野で企業向け情報サービスを提供し急成長。マイクロソフトなどと激しい競争を繰り広げ、IT業界の大再編を引き起こそうとしている。この新たな潮流はさらに、人々の働き方を変え、人々の考えや行動に大きな影響を与え始めている。ITの新たな地殻変動と、社会にもたらすインパクトを探る。
グーグルのCEOシュミット氏が数年前、いち早く「クラウド」を唱えていたのを思い出す。
さて、中小企業の経営の現場では、IT化はまだまだ遅れているし、インターネット活用も限定的な例が多い。いまだに1人1台のPC環境になっていないのでは知的生産性の向上を阻害する要因となる。少なくとも使いたいときにPCやインターネットが使える環境でないと経営環境としては厳しい。
この際、ミニノートPCでクラウドコンピューティングに取り組むのはどうだろうか。
Eee PC 901-Xは、優れた携帯性能もさることながら、インターネット上に設置された20GBの保存スペースを無料で提供するサービスがある。自分だけの保存スペースとして使えるだけでなく、保存したデータを企業内や仲間で共有することも可能。このようなサービス提供はとても的を得た提案だ。
ニフティには「MYキャビネット」というネット上の記録サービスがある。あたかも自分のPCのマイドキュメントのような操作感でネット上にデータをやりとりできるのがいい。しかし、10GBの容量で月額利用料が5250円で、年額63000円というのは安くない。
(遠田は会員向けサービスで無料で使える20MBだけ使っているが便利だ)
Eee PC 901-Xの実売価格が5万円台であることを考えると、20GBの容量提供はとてつもなく大きなアドバンテージだろう。ネット上のデータ利用に価値を感じるのならば、PCの価格はただ同然ともいえる。
この5万円台のEee PC 901-Xは中小企業にとってのIT活用について大きな衝撃を与えたのではないだろうか。
この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
小規模事業者や中小企業を対象として、経営戦略立案とその後の実行支援、商品開発、販路拡大、マーケティング、ブランド構築等に係る総合的なコンサルティング活動を展開しています。実際にはWEBマーケティングやIT系のご依頼が多いです。
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