食の値下げが続いている。4月になって急激に値下げされた弁当や食材も多い。消費者の立場としてはうれしい限りだ。しかし、この値下げは正当なコストダウンや原料価格低下の理由よりも、景気低迷による消費不況対策として小売店も食品メーカーも自らの利益を削った値下げのようだ。値下げは、「値下げ」→「他社の追随」→「業界全体の利益が減少」→「赤字の拡大」→「リストラ」→「失業者増加」→「消費者の買い控えがさらに強まる」→「さらに値下げせざるを得ない」…という負の循環を生み出す危険をはらんでいる。
企業が経営戦略として、集客用に安い特売商品を作る場合もある。さらに安くてももうかるように、サプライチェーンを洗いなおして画期的なコストダウンを実現したいという場合もあるだろう。
また、企業として、このような環境変化に適応するには「高く売るための手段」や「値下げしなくても売れる商品にするため」に「産地ブランド」を活用する手がある。
価値ある食品を正当な対価で販売するのならよい。
しかし、食の擬装が起こりやすい構造になった。このような経済環境のときは、「値下げ圧力から逃れるため」についつい産地を擬装してしまったということになるかもしれない。現状は、あらたな食の擬装問題が起きやすい状況になっているといえるだろう。食品関係者は、くれぐれもあやまった判断をしないでもらいたいものだ。
※この記事は特定の企業のことを書いたわけではなく、不祥事が起きやすい環境になったという概念的なことを述べたものなので、ご注意ください。
この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
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