上麦口町(かみむぎくちまち)という中山間地の集落を視察してきました。小松市の中心部から軽海を通り白山市吉野谷に抜ける途中にある中山間地です。
上麦口町の世帯数は16軒という少なさですが、町内会を軸とした町民の結束が強いのが特徴です。農村・地域としての取り組みについて素晴らしい活動をしていました。国際的な交流をすることにより、イノシシの防護柵にアートペインティングをするという活動につなげて、防獣と景観向上および交流促進という成果を生み出していました。
上麦口町(かみむぎくちまち)という中山間地集落
上麦口町は国や県から表彰されています
農水省の表彰
令和4年度には農水省から表彰されています。(北陸農政局多面的機能発揮促進事業優良活動表彰)
https://www.maff.go.jp/hokuriku/news/press/230228.html
この北陸農政局のページで紹介されているPDFを画像にしたものがこれです。
さらに、表彰された取り組み事例としても紹介されています。https://www.maff.go.jp/hokuriku/rural/tyokusiharai/
石川県は好事例として紹介
また石川県からも、小松市上麦口集落協定が好事例として紹介されています。
上記ページ内のPDFから抽出した画像は以下のとおりです。
対象外農地の耕作者や近隣集落との連携に取り組む事例、農地・水活動組織と連携して環境保全型農業に取り組む
国際ワークキャンプを受け入れ
上麦口町は2013年から国際ボランティア(国際ワークキャンプ)を受け入れました。この決定をしたことが素晴らしいですね。
毎年、約10名の参加者が約2週間ここで衣食住を共に過ごし、神社周辺の草刈りをしたり、農作業を手伝ったり、イノシシ防護壁にアートペインティングをしたりしているということでした。
国際ワークキャンプに参加してくるのは若者ばかりで、半数が外国人だということでした。
アートペインティングされたイノシシ防護柵
上麦口町の一帯にはトタンで作ったイノシシ防護柵があります。
山と平地の境目(際)の部分に設置された柵はイノシシの侵入を防ぐ効果がありました。
このイノシシ防護柵に国際ワークキャンプのボランティアの人たちがアートペインティングをしていったそうです。
たくさんの柵があり、気が遠くなるくらい長い距離です。柵はどこまでも続いているように見えます。
このようにアートペインティングされたイノシシの防護柵は毎年伸び続け、1キロ以上の長さになっているそうです。10年前からこのような取り組みを続けてこられたことに驚きました。
週末ワークキャンプも実施
また週末ワークキャンプというもっと気軽な体験機会も提供しています。小松市内の大学生らも多数参加しているようで、多い時は一回あたり20人近くが集う場になっているそうです。
このような交流人口の増加策により、上麦口町の認知度が向上しています。すでに数組の移住者がこの町に来ているとのこと。その移住者の企画で「茗荷でまちおこし」というような取り組みにつながっているようです。
ミョウガのまち 里山につくろう 小松・上麦口町に移住 高島さんらhttps://www.chunichi.co.jp/article/661484
移住者がミョウガで町おこしという活動につながったのは、事前に交流があったからですね。
ヒトが吸引力になっているのだと感じました
たった16世帯の里山でこのような展開ができるというのは本当に素晴らしいと思います。
今回、町の役員さんたちがいろいろと説明をしてくれましたが、みなさん人柄の良さがにじみ出ていました。とても魅力的なひとたちで「こんなひとたちと一緒に暮らす町ならいいな」と思わせてくれるような印象を強く受けました。
結局は、ヒトが吸引力になっているのでしょうね。
たいへんに勉強になる好事例でした。ありがとうございます。
余談ですが…、上麦口町および麦口町の周辺に住む地元の方は、麦口を「むぎくち」と読まずに「ままくち」と呼びあうそうです。これは地元民しかわからないですね。
ちなみに、ゴジラ松井の出身地としても有名な能美市根上町の事例を思い出しました。根上は「ねあがり」と読むのが正しいのですが、なぜか地元の人だけは「ねがみ」と呼んだりすることがあります。
地元の呼称について地元あるあるというか、謎ですね(笑)
この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
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