ビッグデータ

ビッグデータを活用してネットもリアルも解析し経営戦略やマーケティングに生かすことができる時代になりつつある

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東京四ツ谷IT系のセミナ受講のために東京に来た。2つのセミナを受講し共通の思いを抱いた。それは「ビッグデータ」と「アナリティクス(解析)」は中小企業にも必須になったかもしれないということだ。
IT系の経営用語として「ビッグデータ」という言葉がここ数年よく使われている。ビッグデータとは、経営的な数値データだけではなく、企業活動を取り巻く環境のなかで取得できるあらゆるデータである。

たとえば、ネットショップのアクセスログや受注データはもちろんで、インターネット上のデジタル写真、ビデオ、位置情報(携帯電話のGPSなど)、フェイスブックやツイッターなどのソーシャルメディアデータ、さらにRFIDやPOSなどから取得できるデータなど、山のようにあるデータである。

ビッグデータは構造化されているデータだけではなく、構造化されていない非定型のデータのほうが多い。このビッグデータを解析したりデータマイニングしたりすることで、宝の山を見つけ出すことができるかもしれない。企業にとって将来の収益原泉を探すための機会としてビッグデータの活用が考えられる。

しかし、大企業と違い中小企業には経営資源がそれほど多くない。ビッグデータ時代だからといって情報投資をボンボンできるほど資金が潤沢というわけではないし、人材も不足しているので活用できるかどうかもわからない。

中小企業はビッグデータの本質に注目したい。

ビッグデータは集めることに意味があるのではなく、利用することに意味がある。まず、第一歩は、インターネットビジネスで展開している解析(アナリティクス)の概念を実店舗などのリアルビジネスに活用することだろう。

Accessgensyou インターネットビジネスを成長発展させている中小企業者は、アクセス解析を利用し「仮説検証モデル」というPDCAサイクルを回している。アクセス解析は、単に来場者数やサイト滞在時間を知るためだけのものではない。WEBサイトに訪れたさいに検索エンジンから来たキーワードを調べたり、ネットショプならば受注につながったアクセスの転換率(コンバージョンレイト)を分析したりすることにより、現状分析と対策検討に大いに役立っている。

特に顧客の行動履歴がわかるのがアクセス解析のいいところである。どのページからどのページに移動してどれくらい滞在すると買ってくれるのかとかいう動線や、あるページの商品は買い物カゴには入るけれど結局買わないというカゴ落ちになるとか、WEBサイト内の顧客の動きが分析できる。データがあるから、解析すればマーケティングに活かすことができる。
例えば、カゴ落ち。ある商品は買い物カゴに入れてもらえるが結局は買ってもらえないという率(カゴ落ち率)が、他の商品に比べて3倍以上あることがわかったら、原因を調べ対策を打ちたくなるだろう。

このアナリティクスの考え方を実店舗や営業活動などにも活かそうということである。

酒屋などの小売店でも実店舗に多数の非定型のデータがある。
Shohintinretsu 例えば、「お客様が手にとったけれど結局買わなかった商品」について、そのような行動を頻繁に目にすれば「なぜだろう?」と疑問に持つだろう。手に取るということは興味を示しているということだが、買わないということはなにか理由がある。単に価格が高いからという価格の問題ではないかもしれない。量が多すぎるとか少なすぎるとか、使い方がよくわからないから購入をためらったとか、お客様が買わないのにはなにか理由があるはずだ。
勘のよい商店主ならば、原因はなにか、どうすれば売れるようになるか、と考え対策を検討するだろう。このことは「カゴ落ち」に関して、ネットショップも実店舗も同じだということだ。違うのは「数値」があるかどうかである。

実店舗でも顧客行動の数値を取ることができるようになってきている。顔認識技術、商品のRFIDタグ、ビデオ撮影データと解析技術などを組み合わせれば、ネットショップと同じように酒屋の店内でも顧客の動線管理と分析ができるだろう。

これらの技術はすでに実用化レベルにきている。

Wineamazon アメリカのある小売店では、来店しているお客様の一人あたり購入額が減少している原因を調べたら、意外な事実がわかったという。実店舗で商品の品定めをして買わないお客様はその商品をスマートホンを使いその場で検索し、アマゾンなどのネットショップの一番安いところで購入しているということだった。せっかく実店舗を用意し商品を並べスタッフを雇用しているのに、他社のネットショップのカタログとしてでしか使われないとしたら大きな損害である。

このような機会損失を減らすためにも実店舗のデータ活用や分析をもっと進めなくてはならない。

実際にこの対応策として、この店舗では、ITやWEBの活用にチカラを入れた。実店舗に並んでいる商品にQRコードをつけて、スマフォで撮影してチェックインしてもらうことでポイントを付与し、実店舗購買を促すためのアプリを開発したそうだ。

ビッグデータを活用してネットもリアルも解析し経営戦略やマーケティングに生かすことができる時代になりつつあるのだろう。