「農業者にもAIが必要になった」というセミナー講師を2月2日午後にさせていただきました。これは福井県の南越農業士会研修会で、会場は福井県越前市にある「越前たけふJA」さんの建物でした。
総会のあとの研修会ということで多数の地元農業者さんや福井県の農業関係者さんなどが参加されていました。
「農業者にもAIが必要になった」という研修会
会場は越前武生農業協同組合(JA)さんの建物
「JA越前たけふ会館」という名称のようです。
会場はこの建物の3階で、この階は会議室や大きなホールが多数あるホテルのような感じです。広くて驚きました。
南越農業士会の案内パネルが立ててありました。
研修会のテーマは汎用AI
総会のあとに研修会が開催されました。
研修内容としては、ChatGPTなどの生成AIの衝撃でこれからは専用AIから汎用AIを利用していくという時代になったことなどを解説しました。
会場内で「ChatGPTを使ったことがあるかどうか?」を尋ねたところ、使ったことがあるという方はごくわずかでした。ほとんどの方は「聞いたことはあるけど触れたことがない」という状況のようですね。
そこで、ChatGPTを使って少し実演をしてみました。
「紅しきぶ」というトマトを使った新商品やレシピを開発するデモを実施
越前市は紫式部が住んでいたことがあるということで、紫式部公園やゆかりの記念館もあります。なにより今年のNHK大河ドラマ「光る君へ」は紫式部が主人公とあって、おおいに盛り上がっているようです。
紫式部ゆかりの地ということなんでしょうか、越前市には紫式部にちなんだような名称の農産物が複数あります。「紅しきぶ」という赤い大玉のトマトや、「緑しきぶ」というキューリがブランド化されています。
ということで、「紅しきぶ」に関してChatGPTを使ったデモを行いました。ちなみに「紅しきぶ」は「べにしきぶ」と呼ぶそうです。
JA越前たけふのブログに「紅しきぶ」出荷の様子が写真つきで掲載されていましたので引用させていただきました。
「紫しきぶ」のような名前のトマトが福井県にありますか?
紫しきぶのような名前のトマトが福井県にあるそうですが、どんなトマトですか?
紫しきぶのような名前のトマトは「紫しきぶトマト」と呼ばれており、福井県で生産されています。
…以下省略
ここで会場から笑いが起きました。
「紫しきぶトマト」というブランド名はありません。(笑)
これは生成AIが起こしがちなハルシネーションというやつで、知っているかのような嘘をいうという現象です。
実は、このようなハルシネーションが起きる場合は、「質問の仕方が悪い」ことが多いです。ChatGPTは優秀ですが、例えると「ハーバード大学を卒業した優秀な新入社員なので会社のことがよくわからない」ということです。
ですからこの解決法は「対話のなかで事実をおしえてあげる」です。するとChatGPTは事前学習の内容と場合によっては最新情報をネット検索して調べたうえで回答を生成してくれます。
会話の中で「いい問いをする」ことが大事です
福井県越前市には「紅しきぶ」というトマトがあるんです。
このことについて調べてください
紅しきぶは福井県越前市を中心に生産されているブランドトマトです。このトマトは「りんか409」という品種に由来し、越前市武生地区園芸連絡協議会の春トマト専門部会の15名の生産者によって栽培されています。紅しきぶは、しっかりとした肉質で、糖度と酸味のバランスが取れた味わいが特徴です。肥料や水分管理に気をつけながら、農薬や化学肥料の使用を抑えた安心・安全な栽培方法に努めています。
また、紅しきぶはその食感と味においても特筆すべき点があります。固さを感じさせるしっかりとした外見とは対照的に、果肉は粘質で、ゼリー状の部分と組み合わさることで柔らかく滑らかな食感を生み出しています。このトマトは、高い糖度と適度な酸味を持ち合わせており、濃厚な味わいが楽しめます。
紅しきぶの収穫期は、一般的に5月下旬から始まり、7月下旬頃まで続きます。その年の気候によって多少のずれはありますが、この期間が紅しきぶを最も美味しく楽しめる旬の時期です。
越前市では紅しきぶを含む地元産品のブランド化を推進しており、地産地消を促進するために生産者と消費者を繋ぐ取り組みが行われています。市内のスーパーや小売店では、7月中旬頃まで紅しきぶを購入することが可能です。
ここでいい感じの回答がでてきました。このまま対話を続けていきます。
生成AIは「コンテキスト(文脈)」を大事にしますので、この回答を引き出したうえで対話を続けていくと、この回答内容を参考にしてよい回答をしてくれる可能性が高くなります。
この紅しきぶを使った農産物加工品を考えています。
紅しきぶの特徴をふまえてどんな加工品がいいかを提案してください
紅しきぶトマトの特徴を活かした農産物加工品を考える際には、その高い糖度と酸味のバランス、滑らかで豊かな食感、そして健康に良い抗酸化作用を有するアントシアニンの存在を最大限に生かすことが重要です。以下のような加工品が考えられます
- 紅しきぶトマトジャム: トマトの自然な甘みと酸味を活かし、細かくつぶしたトマトを煮詰めて作るジャムは、トーストやヨーグルトに加えることで、朝食やおやつを豊かな味わいに変えることができます。
- 紅しきぶトマトソース: パスタやピザに欠かせないトマトソースは、紅しきぶトマトの濃厚な味わいを生かす絶好の機会です。フレッシュなハーブと合わせて、独自のブランドソースを作ることができます。
- 紅しきぶトマトドレッシング: サラダに新鮮な風味を加えるドレッシングとして、紅しきぶトマトをベースにした製品も魅力的です。オリーブオイル、ビネガー、そしてスパイスと組み合わせることで、風味豊かなドレッシングを作り出すことができます。
- 紅しきぶトマトのピクルス: トマトの糖度と酸味を活かしつつ、ピクルス液に漬け込むことで、食感と味わいのバリエーションを楽しめる商品が作れます。チーズやワインとのペアリングで楽しむこともできます。
- 紅しきぶトマトの冷製スープ: 暑い夏の日にぴったりの冷製スープは、紅しきぶトマトのフレッシュな味わいを生かすのに最適です。スパイスやハーブを加えて、さまざまな風味のバリエーションを提供することができます。
これらのアイディアは、紅しきぶトマトの特性を生かし、消費者に新しい食体験を提供する素晴らしい方法です。加工品の開発にあたっては、紅しきぶトマトの品質を保ちながら、安全で衛生的な製造プロセスを確立することが重要です。また、地元産品としてのブランド化を進めることで、地域経済の活性化にも寄与するでしょう。
なかなかよい提案がでてきました。紅しきぶの特徴を生かした案なのでかなり具体的です。質問を続けます。
質問は具体的にしましょう
紅しきぶトマトの冷製スープのレシピ案を家族4人分の分量で考えてください
紅しきぶトマトの冷製スープは、その豊かな味わいと滑らかな食感を活かした爽やかな一品です。以下に家族4人分の基本的なレシピ案を紹介します。詳細な分量や手順は、お好みや利用可能な材料に応じて調整してください。
必要な材料:
- 紅しきぶトマト:約8個(熟れたものを選ぶ)
- キュウリ:1本(皮をむき、種を取り除く)
- 赤ピーマン:1個(種と白い部分を取り除く)
- 玉ねぎ:1/4個(みじん切り)
- ニンニク:1片(みじん切り)
- オリーブオイル:大さじ2
- 白ワインビネガー:大さじ1
- 塩:小さじ1/2(お好みで調整)
- 黒胡椒:少々(お好みで調整)
- 氷水:適量(トマトを冷やすため)
作り方の概要:
- トマトの下処理: 紅しきぶトマトを湯剥きし、種を取り除いてざく切りにします。皮と種は取り除いた方が滑らかなスープになりますが、フードプロセッサーで十分に細かくすることもできます。
- 野菜のカット: キュウリ、赤ピーマン、玉ねぎを細かく刻みます。ニンニクはみじん切りにします。
- ミキシング: トマト、キュウリ、ピーマン、玉ねぎ、ニンニクをフードプロセッサーに入れ、なめらかになるまでよく混ぜます。
- 味付け: オリーブオイル、白ワインビネガー、塩、黒胡椒を加えてさらに混ぜます。味を見て、必要に応じて調整します。
- 冷やす: 混ぜ合わせたスープを冷蔵庫に入れ、数時間冷やします。冷やすことで味がなじみ、より爽やかな味わいになります。
サーブ時の提案:
- 冷製スープを器に注ぎ、仕上げに新鮮なハーブ(例:バジルやパセリ)やクルトンをトッピングすると、風味が増します。
- お好みで、少量のオリーブオイルやクリームを加えると、さらに豊かな味わいになります。
このレシピは、紅しきぶトマトの特性を生かしたシンプルな冷製スープの基本的なアイディアを提供します。具体的な分量や詳細な手順は、お好みや使用する具材に応じて調整してください。クリエイティブにアレンジを加えて、家族に合った最高の一品を作り出してみてください。
ここまでくるとかなり実用的だということがわかりますね。実際にこのままレシピとして試作品を作ることができそうです。
レシピから原価計算をしてもらう
いい回答をだしてくれたときは褒めましょう。まじで褒めることは大事です。ChatGPTのほうも「これがよい回答だったんだ」ということを学習するし、トランスフォーマーというしくみから「よい単語の近くにはよい単語が出現」するからです。
さすがですね、いい感じのレシピです。
このレシピのとおりに作ると高そうですが、1人前のコストを200円以内にできそうですか?原価計算をしてください
原価計算をするためには、各材料の市場価格を確認し、それに使用量を乗じてトータルコストを算出する必要があります。ここでは、一般的な価格をもとに計算しますが、地域や購入する店、季節によって価格は変動するため、実際のコストは異なる場合があります。
材料別の概算コスト(単位あたりの平均価格を元に計算):
- 紅しきぶトマト(8個/4人分): トマト1個あたり50円と仮定すると、8個で400円。
- キュウリ(1本/4人分): キュウリ1本あたり40円と仮定すると、1本で40円。
- 赤ピーマン(1個/4人分): ピーマン1個あたり50円と仮定すると、1個で50円。
- 玉ねぎ(1/4個/4人分): 玉ねぎ1個あたり30円と仮定し、1/4個で約8円。
- ニンニク(1片/4人分): ニンニク1片あたり5円と仮定すると、1片で5円。
- オリーブオイル(大さじ2/4人分): オリーブオイル100mlあたり200円と仮定し、大さじ2で約10mlなので、20円。
- 白ワインビネガー(大さじ1/4人分): 白ワインビネガー100mlあたり100円と仮定し、大さじ1で約5mlなので、5円。
- 塩、黒胡椒: 両方合わせて5円と仮定。
各材料の合計コスト(4人分):
- トマト: 400円
- キュウリ: 40円
- ピーマン: 50円
- 玉ねぎ: 8円
- ニンニク: 5円
- オリーブオイル: 20円
- 白ワインビネガー: 5円
- 塩、胡椒: 5円
合計:
合計コスト = 400円 + 40円 + 50円 + 8円 + 5円 + 20円 + 5円 + 5円 = 533円
1人前あたりのコスト:
1人前あたりのコスト = 合計コスト / 4人 = 533円 / 4 ≈ 133円
以上の計算によれば、1人前あたりのコストは約133円となり、設定された200円以内の範囲内で収まります。
ただし、これはあくまで一般的な価格を基にした概算であり、実際のコストは購入場所や季節、ブランドトマトの価格などによって変動する可能性があります。
いい感じの回答が得られました。さらにここで追い打ち質問をします(笑)
レシピのアレンジもできます
1人あたり20円くらいのコストを奮発してもいいので、なにかアレンジするとしたらなにがいいですか?
約20円のコストで冷製スープにアレンジを加える場合、以下のような添加物が考えられます。これらの素材は、スープの味わいを豊かにし、見た目の魅力も高めることができます。
- フレッシュハーブ(バジルやパセリ): 香り高いハーブはスープの風味を引き立てます。バジルはトマトとの相性が特に良いです。少量を細かく刻んでトッピングとして使用するか、スープに直接混ぜ込みます。
- クルトン: 自家製のクルトンを加えると、食感のアクセントになります。パンを角切りにしてオーブンやフライパンでカリカリに焼き、オリーブオイルやハーブで風味付けをします。
- 生クリームやヨーグルト: 少量の生クリームやヨーグルトを加えると、スープにまろやかさとクリーミーな味わいが加わります。サーブ直前に混ぜるか、デコレーションとして使用します。
- パルメザンチーズ: 細かく削ったパルメザンチーズをトッピングとして加えると、塩味とコクが増し、味わい深い一品になります。
- アボカド: クリーミーな食感のアボカドは、スープに滑らかさと栄養価を加えます。小さくカットしてスープに加えるか、トッピングとして使用します。
これらのアレンジは、一人あたりのコストを大きく上げることなく、スープの味わいや見た目を豊かにする効果があります。使用する材料の量や質によって、コストは多少変動しますが、工夫次第で200円以内に収めることが可能です。
たいへんによいアイデアをありがとうございます。
アボガドを入れたレシピでまとめてエクセルのデータにしてください
アボカドを含む紅しきぶトマトの冷製スープのレシピと原価計算をExcelデータにまとめました。こちらからダウンロードできます: cold_soup_recipe_cost.xlsx.
最後にエクセルデータとイメージ画像を生成してもらいました
ということでダウンロードしたエクセルを開いてみました。
エクセルを開くとシンプルにレシピとコストの表になっていました。
最後にこの「紅しきぶ冷製アボガド入りスープ」の画像を生成してもらいました。
このトマトスープの画像を生成してください
画像が生成されました。こちらが紅しきぶトマトの冷製スープのイメージです。フレッシュハーブとアボカドで飾られており、高級感ある食卓に置かれています。
画像ID: PH5gCLsiXvlQBYcT
シード値: 2238306204
ということで今回のデモを終了しました。最後にChatGPTに「ありがとう」ということを忘れないようにしましょう。相手はコンピュータ(AI)ですが人間のような心を持っているというように接したほうが得られる回答の質が高いからです。
まとめ
今回の研修会では、主に農業者の方々にChatGPTの解説と実演をさせていただきました。研修会終了後にいくつか質問をいただき、参加者の熱心さもわかりました。
また機会があれば呼んでください(笑)
この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
小規模事業者や中小企業を対象として、経営戦略立案とその後の実行支援、商品開発、販路拡大、マーケティング、ブランド構築等に係る総合的なコンサルティング活動を展開しています。実際にはWEBマーケティングやIT系のご依頼が多いです。
民民での直接契約を中心としていますが、商工三団体などの支援機関が主催するセミナー講師を年間数十回担当したり、支援機関の専門家派遣や中小企業基盤整備機構の経営窓口相談に対応したりもしています。
保有資格:中小企業診断士、情報処理技術者など
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