ソフトバンクの孫正義氏がヤフーショッピングの無料化などの改革を発表した。ヤフーは、ヤフーショッピングやヤフーオークションの出店料や月額課金(家賃および売上にかかる料率)をすべて無料にするという。これまで禁止だった外部リンクも解禁となる。これはネットショッピング業界にとっては大きな衝撃である。ネットショップオーナーにとっては既存店以外にも固定費がかからないヤフーショッピングへの出店を考えざるを得ないだろう。実存する中小小売店もネットショップへの展開にはずみがつくだろう。期間限定の農家ネットショップや、一品だけ販売の超セレクトショップというのも選択肢になり、ネットショッピングビジネスの幅が大きく広がるだろう。
ではヤフーは今後どうやって収益を得るのか?
それは広告と金融だろう。
ヤフーショッピング出店無料化により、こぞって出店が増加するだろう。現在、ヤフーショッピングの流通総額は3000億円くらいといわれている。大きな額ではあるが、流通総額1兆円を超える楽天とは大きな差をつけられているのが現実である。
ヤフーショッピングの出店無料化により、今後は独自ドメインのネットショップや楽天などのモールに出店しているネットショップはヤフーショッピングへの出店や販促を強化するだろう。おそらく出店数や流通総額は大きく増加が見込まれるだろう。数倍規模になれば楽天と肩を並べることができる。
しかし、ネットショップ出店者はそれほど楽ではないだろう。すでにネットショップは供給過剰感が強く成熟しているビジネスモデルである。楽天内でも出店者同士の競争が激しく、売上を伸ばすためには楽天モール内の広告費用が売上の10~20%程度を投資しなければ、翌月の売上が見込めないという状況になっている。広告費がネットショップ経営の大きなコストになっている。
ヤフーショッピングが出店コスト無料になり、出店者が増加すれば、現在楽天で起きている広告依存現象と同じことが起きてくるだろう。出店料や売上課金が0円になるということは、運営コストが下がるということとイコールではない。コストダウンした額以上に広告費を上積みできるような販促強化を実施するネットショップでないと、売上増加は見込めないだろう。つまり、ヤフーショッピング内での販売を増加させるためには、広告費が激増し、その収入がヤフーショッピングの収入増加につながるということである。
実際に、昨日のヤフーショッピング無料の発表で関係者は「広告収益を増やす」ということを明言している。
また金融については、決済方法でヤフーが関与するクレジットやポイントなどの利用が増えることでの収益増加が見込める。
いずれにしても、ヤフーショッピング出店料無料は大きな衝撃である。今後、ネットショップを取り巻く環境は大きく変わっていくものと考えられる。
この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
小規模事業者や中小企業を対象として、経営戦略立案とその後の実行支援、商品開発、販路拡大、マーケティング、ブランド構築等に係る総合的なコンサルティング活動を展開しています。実際にはWEBマーケティングやIT系のご依頼が多いです。
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