ある日突然メールが届かなくなってしまい困ったという事例が増えてきた。他の宛先では届くのに特定の宛先では届かないということなので、メールソフトの設定が間違っているわけではない。届かないというメールアドレスの宛先からはエラーメッセージが返信されている。その中身を調べてみると「送信元のメールアドレスのドメインのIPアドレスがブラックリストに登録されている」という意味のメッセージが記されていた。
ちなみに送信先のメールアドレスはみんビズ(Jimdo)で、送信元のメールアドレスはさくらインターネットという事例なので、わりと身近でも多い組み合わせである。
IPアドレスを調べる方法
IPアドレスを調べる方法はいくつかあるが、「IPひろば」が使いやすいのでもっぱらこれ。まずはIPひろばで調べてみる。
上記の例は「nifty.ne,jp」で調べたときの画面の一部。その結果、IPアドレスは「210.131.4.217」であることがわかる。
そして、この結果表示の下部のほうにブラックリスト登録になっているかどうかを示す表示がある。
この結果表示の下部のほうのRBL検索という部分がブラックリスト登録になっているかどうかを示す部分である。上記の画面ではrbl.jpもIPひろばも「存在しません。安全です。」となっているので、ブラックリストに登録されていないということがわかる。
だから、「nifty.ne.jp」というドメイン名はIPアドレスでは「210.131.4.217」を使っており、そのIPアドレスはブラックリストに登録されていないから安全であるということがいえる。
日本国内同士でのメールやりとりであればチェックはこれで十分だろう。しかし、最近、迷惑メールで使われるドメイン名(IPアドレス)は国外からのほうが多い。実際に日本国内に送られてくる迷惑メールはほとんどが国外で、それも中国「.cn」が圧倒的に多い。最近ではロシア「.ru」やドイツ「.de」などから日本に送られてくる迷惑メールが増えている。そのため、メールアドレスの末尾が「.cn」「.ru」「.de」などのメールを受信しない設定にしている人も多い。
ブラックリストは世界的にIPアドレスもチェックする必要がある。
とくに「みんビズ」ではJimdoというドイツ発のCMSを使っているため、もともとの情報基盤は日本国内ではないと考えられる。ドイツあてであれば、日本のアドレスを使った迷惑メール発信が多いかもしれない。そのため、日本国内では大丈夫なドメイン名でも、日本からドイツに送信する場合はブラックリストに登録されている可能性がある。
たとえば、ブログ道場のサイトとして利用しているhttp://www.blog-dojo.comは、みんビズで運用しており、「****@blog-dojo.com」というようなメールを設定することができる。このメールアドレス宛にメールをした場合には、みんビズ(Jimdo)のサーバがブラックリストを判定する。そのブラックリストのデータベースは日本国内向けというよりもドイツおよび世界的な利用を前提にブラックリストを判定していると考えられる。
そこで、世界で広く使われているブラックリスト判定サイトでも調べてみた。
英語版ばかりだが、かなり使えそうだ。
▼ブラックリストIPを判定するWEBサービス
http://blaggregate.emailsrvr.com/
http://www.tcpiputils.com/browse/ip-address
http://whatismyipaddress.com/blacklist-check
この中でもhttp://whatismyipaddress.com/blacklist-checkが強力だ。上記の「nifty.ne.jp」のIPアドレス「210.131.4.217」を調べたところ、いくつかのサイトでブラックリスト登録されていることがわかった。
▼BlacklistCheckで「nifty.ne.jp」のIPアドレス「210.131.4.217」を調べた結果
このようにniftyのような著名な有料メールアドレスでもブラックリストに入ることがある。
▼BlacklistCheckで「さくらインターネット」891サーバのIPアドレス「219.94.128.101」を調べた結果
この結果は抜粋版であるが、3箇所でブラックリスト登録されている。とくに左下にある「dnsbl.inps.de」がドイツのブラックリストなので、迷惑メール判定されエラーメールになったと考えられる。
ブラックリストに入ってしまいメールが送れなくなった場合の対策
ブラックリストに入ってしまいメールが送れなくなってしまった場合の対策はどうすればよいか。
・別の送信元アドレスからメールを送る
・利用しているドメインの利用サーバを移転する
…という対策が有効である。
実はIPアドレスのブラックリスト入りは深刻な問題で容易に解決できない。当面はちゃんと届く別のアドレスを利用するなどメール送信を使い分けするしかないだろう。意外にGmailや携帯メールアドレスからだと送信できることが多い。
その後は利用しているドメインのレンタルサーバの移転を検討しよう。そもそもブラックリストとして判定されたのは、同じレンタルサーバから大量の迷惑メールを発信するスパマーがいたりサイトをのっとられてスパムメールを発信する基地化していたりしたことが原因と考えられる。レンタルサーバは自分だけではなく多数の利用者が1つのサーバを使っているので、たまたまそのような利用者が同じIPアドレスのサーバを使っているとこのような事態に陥ってしまう。
だが、ほとんどのブラックリストサイトの判定基準がドメイン名でなくてIPアドレスなのが救いである。そのドメイン名を違うIPアドレスのサーバに移転すればセーフとなる可能性が高い。
ただし、移転先のサーバのIPアドレスがブラックリストに入っているかどうかを事前に調べておく必要がある。また、できるだけブラックリストに入りにくいサーバを選ぶなら、少し利用料金が高くても信頼性が高いサーバを使ったほうがいい。
この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
小規模事業者や中小企業を対象として、経営戦略立案とその後の実行支援、商品開発、販路拡大、マーケティング、ブランド構築等に係る総合的なコンサルティング活動を展開しています。実際にはWEBマーケティングやIT系のご依頼が多いです。
民民での直接契約を中心としていますが、商工三団体などの支援機関が主催するセミナー講師を年間数十回担当したり、支援機関の専門家派遣や中小企業基盤整備機構の経営窓口相談に対応したりもしています。
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