経営戦略

ランチェスター勉強会in福井では竹田陽一先生が直々に熱く「1位」になることの重要さを語った

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ランチェスター勉強会in福井ランチェスター戦略の経営戦略講演会が「どっとこむ福井」の開催で開かれた。
講師は日本のランチェスター戦略ではNO1の存在感がある竹田陽一先生。竹田陽一先生のランチェスター戦略に関する書籍やCDなどは多数あり、質量とも圧倒している。遠田も過去に書籍を読んだことがあるが、やはり生の竹田陽一先生の声で聴くランチェスター戦略は迫力があった。市場規模や企業の規模よりも、小さくてもNO1「1位」にならないと利益がでないということを様々な指標や豊富な事例を使って説明してくれた。

ランチェスター戦略の第一人者、竹田陽一先生

竹田陽一先生が福井で講演する様子

一位づくりで重要なのは「強い商品づくり」「強い地域づくり」「強い客層」の3つ。

とくに強い商品づくりは重要で、単に商品だけでなく有料のサービスも含まれ、その開発と育成には5年から10年かかるとという説明には説得力があった。やはり一点突破。小さくても狭くても圧倒的に存在感ある1位商品を作ることが中小企業の戦略である。

この「強い商品づくり」「強い地域づくり」「強い客層」の3つに加え「お客づくりの営業対策」「作ったお客を維持する(顧客対応策)」の5つが竹田流ランチェスター戦略の5大主役で、たいへんに重要であるということを竹田陽一先生は説明。

ランチェスターの法則

もともとのランチェスターの法則は1914年にフレデリック・ランチェスターによって発表されたオペレーションズ・リサーチ「OR」における戦闘の数理モデルである。オペレーションズ・リサーチは数学的・統計的モデルおよびアルゴリズムの利用などによって、さまざまな計画の選択肢の中で最も効率的になるような意思決定をするための科学的技法である。

つまり本来のランチェスター法則は、戦争(戦闘時)における両軍の兵力を数値的に計算し、戦えば残存能力がどれくらいにまで減るかということを理論的に示す方程式である。第一法則と第二法則がある。第一法則は個人対個人というような一対一の戦いで使われ、第二法則は組織的な戦闘で使われる。特徴的なのは自乗に比例するという第二法則である。

仮にA軍とB軍の能力差が7:10なら、第一法則なら7:10のままだが、第二法則では49:100となってしまう。自乗するというのは面積の計算と同じ。

10対7は自乗すると100対49になる

能力差が2倍以上に広がると勝ち目はまずない。とくに能力差3倍以上にすると間違いなく勝つといわれている。(敵の兵力の3倍で戦えば勝つ確率は100%になるということ)

戦わずして勝つというのは、敵の3倍の能力を持つことで、敵が戦うことを諦めるようにすることだ。戦うことを略して勝つ、すなわち「戦略」の語源はここにある。

ランチェスター経営戦略

ランチェスター経営戦略は、戦闘の理論であったランチェスター法則を経営戦略に応用したものである。ランチェスター経営戦略では、「強者の戦略」と「弱者の戦略」という2つの戦略にわけている。

強者の戦略は大企業や圧倒的に優位にある立場の場合にとる戦略である。要は、上記のランチェスター法則の第二法則で戦うようにしようということである。総合力で勝っていれば自乗した場合のほうが差が大きくなる。組織的な戦いをしたほうが勝つ確率はぐんと高くなる。

弱者の戦略は数や質で劣る部隊のとるべき戦略である。中小企業者の戦略としてはこの弱者の戦略が重要になる。弱者はまともに第二法則で戦ったら強者には勝てない。そこで、第一法則の一対一の戦いに持ち込むのである。小さな企業でも特定の個人能力なら大企業の社員に負けてないこともあるからである。

中小企業は弱者の戦略で戦う

宮本武蔵が吉岡一門と戦って勝ったというのはランチェスター第一法則である。一対一なら宮本武蔵は個人能力で圧倒しているため負けない。しかし、第二法則なら組織力で数も多い吉岡一門が勝る。もしも吉岡一門が組織能力を総合的に用いて第二法則で戦ったらどうなったかである。3人が同時にかかればいかなる剣豪でも勝つことは困難だといわれている。おそらく70人もいたという吉岡一門が圧勝したであろう。

しかし宮本武蔵は第一法則で戦ったから勝った。

細い小路に敵を誘い出し、常に一対一で戦ったといわれる。一対一なら宮本武蔵は勝つ。数人続けて勝ち抜けば、吉岡一門の士気も下がるだろう。一気に敵を全滅させなくても、一対一で戦い疲れたらおりを見計らって退散し休憩し回復すればまた戦う、という作戦で戦い続ければやがて相手を駆逐できるだろう。

中小企業の経営戦略は「弱者の戦略」で戦うべきである。一対一の局地戦に持ち込み、狭い範囲、勝てる範囲でだけ戦い、そして勝つ。総合力で敵と戦っても勝てないのだから、一点突破で勝つしかないのである。

個人の能力を高めないと勝てない

ここで、課題になるのは個人能力だ。一対一で戦うことで勝つ確率を上げるというのが弱者の戦略の基本。ならば個人の能力を鍛えなければならない。実は大企業ほど社員の個人能力は高い。大企業の社員はもともと優秀なうえ、よく勉強している。中小企業者は、それ以上に勉強し力をつけなければならないのである。

一対一で戦って勝つためには、敵の3倍以上の勉強をする必要がある。

いまや、ビジネスは知恵の戦いである。体力よりも知恵のほうが重要。ならば知恵や知識を高めなければならない。「その分野ではあいつはすごい」と敵からも思われるくらいにならなければならない。そのためには趣味は捨てる、遊びは捨てる。そんな暇があったら勉強しろ、ということである。総合的ではなく、狭く狭く専門的に「その分野ならば」どこのだれより詳しいというくらい勉強しなければならない。

このことをあらためて感じさせてくれたのが、今日の竹田陽一先生のランチェスター勉強会である。竹田先生ほんとうにありがとうございます。CDと書籍を注文します。

福井でのランチェスター講演会を主催したのは「どっとこむ福井」

このようないいセミナーを企画してくれたのは、今年の「どっとこむ福井」会長の水野友紀子さんだ。

プロポーズの言葉はランチェスター戦略

水野友紀子さんは、北陸のネットショップコンテスト初代グランプリになった「アンティーク家具ハンドル」のマネージャで、水野慎太郎社長の奥さんである。このセミナーの冒頭の挨拶で、16年前にプロポーズされた逸話を紹介してくれた。そのときの水野慎太郎氏のプロポーズの言葉は「当社はランチェスター戦略で立て直すから大丈夫。だから結婚してくれ」とのこと。
ランチェスターはプロポーズの言葉にもなるようだ。

すばらしい、感動をありがとう。