トランプ関税に関する報道が日増しに強くなっています。トランプ氏が国際緊急経済権限法(IEEPA)を使って、同盟国も含めたすべての輸入品に10%から20%程度の関税を一律で課す可能性があるという報道は、従来の大統領令や議会を通じた措置よりも“より直接的・強制力の強い手段”として認識されます。これにより、世界の貿易・金融に及ぼす影響は相当に大きくなると考えられます。自由貿易から保護貿易に変わることで、世界経済はどうなっていくのでしょうか。
ChatGPTのo1proを使って現状分析をし、その影響を整理してみました
世界経済全体への影響
貿易摩擦の一段の激化
同盟国を含め、あらゆる輸入品に一律の高率関税が課されれば、アメリカ以外の国々も報復措置(対抗関税など)を検討せざるを得なくなります。とくに国際緊急経済権限法が発動されるとなると、WTO(世界貿易機関)など従来の国際ルールを超える形でアメリカが強硬策に踏み切る可能性が高いです。その結果、
- 世界の貿易量のさらなる縮小
- 企業のサプライチェーン再編の加速
- 企業の投資マインドや国際協調に対する信頼感の大きな毀損
が想定され、各国の景気にマイナス圧力がかかりやすくなります。
金融市場のボラティリティ増大
貿易摩擦への懸念が高まると、株式市場は“リスクオフ”の流れになりやすく、投資家が安全資産へ資金を移す動きが活発化します。特にアメリカ企業が海外から輸入した部品・原材料などに高い関税がかかれば、米国企業のコスト増が予想され、米国株全体にも影響が及ぶ可能性があります。また、世界景気の減速が意識されれば、欧州や新興国の株式・通貨にも売りが広がりやすくなり、為替を含む金融市場全般が不安定化するリスクがあります。
日本の金融経済への影響
輸出産業への打撃・企業収益の圧迫
日本はアメリカ向けの輸出が大きい国の一つです。自動車や機械、電子部品などを中心に、日本企業は一律関税による影響を受けやすいと考えられます。関税が上乗せされる分だけ製品価格を上げるか、あるいは企業側がコストを負担するかの選択を迫られ、企業収益が圧迫されるおそれがあります。
円相場の行方
- 短期的なドル需要増による円安要因
関税支払いのために輸入業者がドルを確保しようとする動きや、「アメリカの金利が依然として高水準にある」という背景から、短期的にはドル需要が高まってドル高(円安)に振れやすい可能性があります。 - 中長期的なリスク回避の円高要因
一方で、貿易戦争が激化し、世界景気後退が意識される局面では、「安全通貨」とされる円が買われるシナリオも想定できます。特に日本の株式市場が大きく下落し、世界でリスクオフが進行すると、投資家の資金がドルから円へと戻ってくる動きが生じることも考えられます。
日本国内景気への波及
- 企業業績の下振れ
輸出企業やグローバルに事業を展開している企業は、業績が下振れする可能性があります。企業が設備投資や雇用・賃金を抑制すると、国内の消費需要を冷やし、日本の景気を下押しする要因となります。 - 金融政策への影響
日銀は長年の低金利政策を維持していますが、世界的に貿易摩擦が激化して景気下振れが鮮明になれば、さらなる緩和策や為替への言及など、政策対応が求められる局面が増えるかもしれません。
ビットコイン価格への影響
リスクヘッジ資産としての注目
- 大きな経済・金融リスクが顕在化した局面で、金(ゴールド)やビットコインなど「従来と異なる資産」への投資需要が高まるケースがあります。特にビットコインは “デジタルゴールド” とも呼ばれ、分散投資先として注目されることがあります。
- 政府や中央銀行の政策に左右されにくいといわれる暗号資産へ資金を移したいという思惑から、短期的にビットコインの価格が上昇する可能性はあります。
価格変動リスクの高まり
- 他方で、市場が大きく混乱すると、まずは流動性を確保するために暗号資産も含めあらゆる資産を売却する動きが強まる傾向があります(2020年3月のコロナ初動時などが一例)。
- とくにビットコインは価格のボラティリティ(変動幅)が大きく、投資家がリスク資産とみなして真っ先に売りを進める局面も想定されます。
長期的な視点
- 短期的には政治的リスクや金融不安によって急騰・急落が起こりやすい一方、中長期的には暗号資産市場の成熟や規制整備の進展、そしてインフレ懸念の再燃などでビットコインが買われる流れが起きる可能性もあります。
- 今回のように「国家が強権的に通商政策を転換し、貿易や金融の秩序を揺るがしかねない」という状況が広がれば、既存の法定通貨から資金をシフトさせたいという思惑が一定数出るかもしれません。
トランプ関税についてのまとめ
遠ざかる自由貿易
もしトランプ氏が国際緊急経済権限法を用いて、同盟国を含むすべての輸入品に一律の関税を課す措置を実際に発動すれば、世界的な貿易摩擦が急速に高まり、株式市場や為替市場など金融市場の不安定化が避けられないと考えられます。日本の輸出企業への打撃は大きく、円相場は「ドル需要の高まりによる円安」と「リスク回避で円が買われる動き」が交錯し、乱高下するリスクがあります。
ビットコインに関しては、「政治・金融リスク回避のための投資先」として一時的に注目が集まる可能性がある一方、マーケット全体の流動性が低下すればリスク資産とみなされて売られる展開も考えられ、価格変動がさらに大きくなることが予想されます。
結局のところ、関税導入後の展開は各国政府の対応や市場のセンチメントに大きく左右されます。ですが、緊急事態宣言を用いるかもしれないという“より強硬な”手段が検討されている点からも、世界経済の先行きへの不透明感は一段と高まり、混乱が深刻化する恐れがあるといえます。
自由貿易が遠ざかっていきますね。
死重損が発生することで社会的厚生が減少する
上記の資料は、2006年に作成したパワーポイントをアニメーションGIFにしたものです。関税をかけると死重損が発生するということを表した図表です。
関税をかけると自国に有利になる大国はアメリカ
関税をかけると自国に有利になるケースがあります。それは自国が貿易大国の場合です。つまり現在では、アメリカのことですね。
小国(世界市場にほとんど影響力を持たない国)が関税をかけた場合、海外からの輸入品にかかる費用が上がり、それを購入する自国民にとってはデメリットが大きくなりやすいです。小国の場合は輸入量が少ないため、世界市場全体の価格を動かせるほどの影響力はなく、「輸入者側が負担を強いられる」ケースが大半です。
一方でアメリカのように世界的に貿易量が大きく、影響力の強い“貿易大国”が関税をかけると、世界の市場価格を変動させられる可能性があります。たとえば、アメリカが海外から輸入する製品に高い関税をかけると、海外からの輸出企業はアメリカ市場へのアクセスを確保するため、販売価格を下げざるを得ないことがあります。結果としてアメリカ国内では、相対的に安くなった輸入品を購入できたり、あるいは国内の産業に有利な環境が作られたりする場合があるのです。
現状で決定権を持っているのはアメリカです。アメリカの動きに注視していきましょう。
約20年前の記事にて掲載しています。あらためて読んでみると経済原論のセオリーってすばらしいなと感じました。
この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
小規模事業者や中小企業を対象として、経営戦略立案とその後の実行支援、商品開発、販路拡大、マーケティング、ブランド構築等に係る総合的なコンサルティング活動を展開しています。実際にはWEBマーケティングやIT系のご依頼が多いです。
民民での直接契約を中心としていますが、商工三団体などの支援機関が主催するセミナー講師を年間数十回担当したり、支援機関の専門家派遣や中小企業基盤整備機構の経営窓口相談に対応したりもしています。
保有資格:中小企業診断士、情報処理技術者など
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