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原っぱがセイタカアワダチソウに占領されつつあった近年、どっこいススキが盛り返してきた(ススキvsセイタカアワダチソウ)

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原っぱがセイタカアワダチソウに占領秋の風景にはセイタカアワダチソウの黄色が印象的だ。セイタカアワダチソウの特徴は「あっというまに群生して一面がセイタカアワダチソウだけになってしまう」という強い繁殖力である。道路の脇や裏庭や近所の原っぱなど、数年でセイタカアワダチソウに占領されてしまったという場所も多い。セイタカアワダチソウは元々外来種の植物で、痩せた土地でも繁殖力が強い。日本の野山で勢力を拡大してきた。セイタカアワダチソウの怖さは繁殖しだすと他の植物を駆逐していくことである。地中深く根を張り、養分を自分だけが吸い取り、他の植物やミミズや虫たちも寄せ付けなくする。
しかし、今年はセイタカアワダチソウの近くでススキをよく見かけるようになった。

ススキは日本の古来種で、花札にも登場するくらい馴染みが深い。ススキはイネ科であり、ススキの茎を乾燥させたものは茅葺きの屋根の原料にもなっており、日本人の生活に深くかかわってきた植物である。

ススキの特徴として「草原が森林にする過程でススキ草原が発生する」ということがあげられる。空き地→原っぱ森林と、原っぱから森林になるという過程でススキ草原を経ることが多いのである。そもそもススキは成長が遅い。長い年月をかけて根を深く貼り株を少しづつ大きくして、やっと人目にわかるくらいに大きくなるまでに数年はかかるという。そしてススキが群生しだすと、土地が肥えていく。その結果、多様な植物の成長を促し、樹木も大きくなっていくということである。空き地から森林になっていく長い年月の過程でススキの貢献は大きい。

今年の秋は、いつもセイタカアワダチソウだらけになってしまうところなのにススキが勢力拡大していると感じられる原っぱが多いように感じる。この写真の原っぱもそうだ。(撮影は石川県かほく市)

▼ススキとセイタカアワダチソウの勢力争い
ススキとセイタカアワダチソウの勢力争い

この現象は日本全国で起きているようである。ねずさんのひとりごとというブログでも「ススキとセイタカアワダチソウの話」として紹介されていた。この記事によると、「セイタカアワダチソウが地中で出す毒素をススキが体内に取り組み中和することで再び成長できるようになった」という内容の記述がある。なかなか興味深い。

もしそうだとしたら、自らを変化させることで強力な外敵と対決できるまでになったということである。この環境適応能力はすごい。

しかもススキの成長は自分だけよければいいという性質のものではない。セイタカアワダチソウで荒れて枯れた土地にふたたび養分を提供し、ミミズや虫や他の植物も生育できるように「土地改良」しているというところが特筆モノである。利他の精神あふれるススキの存在に感謝である。

やはり自然界には、「自分だけがよかれ的な単一植物だけの群生繁殖」よりも、「多様な生き物が互いに関係しあって成長する」という姿のほうが美しく映るのではないだろうか。その重要な役割を果たしているのがススキではないだろうか。

原っぱでセイタカアワダチソウとススキの勢力拡大合戦を見ると、ついついススキを応援してしまうのである。