2015年3月14日の北陸新幹線開業まで1ヶ月を切った。切符の予約は1ヶ月前からなので、いよいよ予約も開始。2月14日に売りだされた3月14日開業日一番列車「かがやき」の切符は、なんと25秒で売り切れたようだ。北陸新幹線の人気は地元である北陸は当然過熱気味なのはわかるが、意外なことに首都圏でも人気になっている。昨日までの東京出張でも「金沢なら新幹線ですね」とか「北陸新幹線開業間近ですね」とか、初めて会った人からも声を掛けられた。
しかし、これまでの感覚からするとこれは異常なくらいの盛り上がりだ。これまでは、首都圏の人に北陸三県はどこ?と聞いても「富山県、石川県、福井県」とちゃんと答えてくれる率はかなり低かったり、「金沢って神奈川県(金沢区)のことかと思ったよ」などと言われたり、北陸の認知度は意外に低いことを知っている。
北陸新幹線
そもそも、北陸新幹線は「長野-金沢間の開業」である。
東京から金沢まで乗り換えなしで新幹線1本で来れるようになることと、北陸新幹線という名称から、「東京-金沢間の開業」と思っている人が多いようだ。北陸新幹線は「東京-金沢間の開業」ではなく、「長野-金沢間の開業」である。これまで東京-長野間で開業していた長野新幹線が延長され、長野と金沢がつながるのが北陸新幹線である。ただし、北陸新幹線開業後は長野新幹線として営業中の区間の呼称も「北陸新幹線」に統一される。
金沢駅構内のポスターの記載も「北陸新幹線(金沢・富山-長野間)というなっている。以下の画像をよく見てほしい。
JR長野駅の構内にあった垂れ幕には「北陸新幹線は長野金沢間の開業」であることが明記されている。
北陸新幹線はJR西日本とJR東日本の2社の管轄
北陸新幹線がJR西日本とJR東日本の2社の管轄で運営されるということは特徴的だ。東京 – 上越妙高駅間がJR東日本、上越妙高駅 – 金沢駅間がJR西日本の管轄となる。同一の新幹線の路線がJR2社の管轄によって運行されるのは国内で北陸新幹線が唯一である。なお、北陸新幹線「つるぎ」は、富山と金沢を往復するシャトル便の新幹線でJR西日本の管轄になる。
北陸新幹線の車両は「W7系」「E7系」の2つあるが同じである。同じ車両なのに「W7系」「E7系」という別名称ができている理由も北陸新幹線がJR西日本とJR東日本の2社の管轄で運営されるからだ。「W7系」のWは西日本(WEST)のWで、「E7系」のEは東日本(EAST)のEであり、実際の車両はまったく同じ。互いにプライドがあるようで、名称を統一することはできなかったようだ。
金沢から、大阪まで行くのも東京まで行くのも2時間半
金沢からだと、大阪まで行くのも、東京まで行くのも、同じ2時間半となるのも特徴的。金沢と大阪間はサンダーバード、金沢と東京間は北陸新幹線で行くことになる。
JR西日本とJR東日本が「北陸新幹線の管轄はうちである」と互いに主張し綱引きをしているようにみえる。このことからもいい意味で競争原理が働き、JR2社の広報活動が盛んになっているのではないだろうか。
北陸新幹線が2社の管轄になっているということが、JR東日本もJR西日本も互いに北陸新幹線を熱心にPRする構造的な理由になっていると考えられる。
また、負の側面として、新幹線が開業すると並行在来線はJR管轄ではなくなってしまうことがあげられる。その影響で在来特急がすべて金沢駅発着となってしまう。サンダーバードが富山発着でなくなるため、富山と関西で行き来する場合は金沢で乗り換えが発生してしまい、富山の利便性が低下する。金沢と富山を結ぶ特急は北陸新幹線「つるぎ」というシャトル便があるが、富山から関西方面や中京方面に出るときは、「つるぎ」で金沢まで行き、乗り換えが必要になってしまう。
なぜ北陸新幹線が首都圏でも話題なのか
首都圏の知人やマスコミ関係者などに聞くと北陸新幹線は毎日どこからのテレビや新聞・雑誌で取り上げられており、かなりの加熱報道状態だという。北陸新幹線がこれほどニュースや雑誌新聞で取り上げられるようになったのはなぜなのか。
北陸を代表する出版社である金沢倶楽部の山田社長のブログにはこのような記述がある。(以下http://yamadamotokazz.hatenablog.com/entry/2015/02/16/213354からの引用)
山田「今年の日本は、人々が喜ぶ、楽しめるイベントがない年なんですね。私は『決め手のない年』と呼んでいますが。オリンピックもワールドカップも、博覧会もビッグの来日もない年に、暗いニュースの多い中で、比較相対的に、北陸新幹線が話題になっているのではないのでしょうか」小林さん「むむっ、なるほど、そうですね」山田「メディアはその本性として熱気のある話題を追っかけますが、今年は年当初から大きな熱気がなく、そのような状況で北陸新幹線が小ぶりの熱気を持っていたので、焦点が当たってしまった、というのが真実ではないですか」小林さん「いやいや、そうですよね」
もちろん、北陸新幹線開業のために多大なご尽力をされた多数の方々の功績も大きい。ただ、運がいいということも素直に認めなければならないだろう。
NHKの朝の連続ドラマ「まれ」の影響にも期待
4月からはNHKの朝の連続ドラマ「まれ」が始まる。「まれ」の舞台は能登半島(石川県輪島市)。パティシエをめざす女性の成長や人間模様を描くストーリーのようだ。数年前の「あまちゃん現象」では岩手県に多数の観光客が訪れたが、北陸新幹線開業年ともなればあまちゃん効果同様の「まれ効果」という期待を抱く。
北陸に住む者としてはこのラッキーな風向きをありがたく受け止めたい。多数訪れるであろう、観光客やビジネス客に失礼がないよう、そしてまた来たくなると思ってもらえるようにしたいものだ。
金沢駅の中から見た新幹線改札口は開業まであとしばらくはベールに覆われている。
この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
小規模事業者や中小企業を対象として、経営戦略立案とその後の実行支援、商品開発、販路拡大、マーケティング、ブランド構築等に係る総合的なコンサルティング活動を展開しています。実際にはWEBマーケティングやIT系のご依頼が多いです。
民民での直接契約を中心としていますが、商工三団体などの支援機関が主催するセミナー講師を年間数十回担当したり、支援機関の専門家派遣や中小企業基盤整備機構の経営窓口相談に対応したりもしています。
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