最近、販促用の印刷物をフライヤーということが多い。従来はチラシといわれていたものまでフライヤーといわれるようになった。グーグルで「flier(フライヤー)意味」と検索すると「英語のflierは日本語でチラシです」という回答が表示される。
遠田は2000年まで印刷会社に勤務していたがフライヤーという言葉は使ったことがなかったので、ここ10年くらいで使われるようになった言葉だろう。傾向としては最近の若いデザイナーはチラシというわずフライヤーという傾向が強い。いくつかのサイトで調べたが明確な区別はあまりなさそうだがニュアンスに微妙な違いがある。
フライヤーとチラシ
フライヤーとチラシはなにがどう違うのか
フライヤーとチラシは一体何がどう違うのだろうか?またどのように使い分けるのがいいのだろうか?自分なりに整理してみた。
▼グーグルで「flier(フライヤー)意味」と検索した結果の画面
上記のように、英語のflier(フライヤー)を日本語に訳すると「チラシ」ということになるので、基本的には「フライヤー」も「チラシ」も同じ意味と受け止めてよいはずである。
検索されている数が多いのは今でもチラシである
グーグルトレンドを使い、「チラシ」と「フライヤー」についての検索されている回数を比較してみた。すると、2010年ころから「フライヤー」という言葉が検索されるようになってきていることがわかった。
しかし、その後もずっと「チラシ」という言葉のほうが検索されている回数が伸び続けていることがわかった。
ということは、全体的には「チラシ」というのが一般的であるが、特定のジャンルや用途に関して「フライヤー」という使われ方がされているのかもしれないという推測ができる。
配布方法の違い
フライヤーとチラシは配布方法が違うことが多い。
チラシ=折込というイメージを持つ人は多いだろう。そう、チラシは新聞や情報誌の折込に使われることが多い。チラシというより折込チラシといったほうがいいかもしれない。
一方、フライヤーは折込には使わない。手渡ししたり、店頭においておき持ち帰ってもらったりするような使い方が多い。
サイズの違い
上記で説明したように配布方法の違いに起因して、サイズの違いがあげられる。
チラシはB4、フライヤーはA4以下、というのがひとつのガイドラインになりそうである。
新聞折込チラシの場合はB4までのサイズは折込料金が同じなので、ほとんどがB4サイズである。まれにA4などもあるが、ハガキサイズのような小さなものはない。逆に小さすぎると折込料金が高いからだ。B4以上のサイズは二つ折りや四つ折りにして仕上がりサイズがB4以内になるようにするのが折込チラシである。
一方、フライヤーはB4以上のものはほとんどない。もっとも多いのはA4で、それより小さいA5サイズやA6サイズ(はがきサイズ)もある。名刺サイズのものはショップカードという用途だが名称としてフライヤーということもあるようだ。
印刷枚数の違い
用途の違いから印刷される枚数もかなり違いがでる。
折込チラシは数千枚から10万枚またはそれ以上の枚数を印刷することがある。
フライヤーは数百から数千程度で、実際には1000枚以下程度が多いようだ。
枚数だけで判断するなら、1万枚以上ならチラシ、それ未満ならフライヤーという判断をしてもいいのかもしれない。
紙厚の違い
チラシの主目的は折込で印刷枚数が多いことから単価を下げるために薄い紙を使うことが多い。おおむねチラシはコートかマットコートで60キロ以下程度の薄い紙厚を使う。
一方、フライヤーははがきにも使えるくらいの厚めの用紙を使うことが多く、コートの90キロから135キロくらいのものが多いようだ。
つまり、紙が薄いのはチラシ、厚いのはフライヤーということである。
印刷する機械の違い
テクノロジーの進化により印刷機をとりまく環境も大きく変わっている。以前は大量に印刷するには印刷会社に発注して専用の印刷機を使うのが一般的だった。
しかし印刷に関するテクノロジー進化により、家庭用や業務用のプリンターが高度な性能を持つことより、印刷会社に発注しないで自分で欲しいときに必要な枚数だけ印刷するという使い方が浸透した。
さらに、デジタルプリンティング自体をネット通販で発注できるようになったことから、短納期で少ロットの印刷も外注する機会が増えている。ちなみにネットプリンティングで発注するさいは「フライヤー」というカテゴリになっているので、フライヤーという言葉を使う回数が増えた理由になっていると推察できる。
印象の違い
フライヤーはチラシに比べて、デザインにおける「おしゃれ感」や創造性において一般的に高い自由度と特徴がある。
その理由は用途にもあるとおりで、フライヤーは特定のイベントやプロモーションに焦点を当てており、ターゲット層も特定されやすいことが多い、よりクリエイティブで個性的なデザインが求めらる。
これに対して、チラシは情報量が多く、広告や一般的な告知に使われるため、ターゲット層が広いこともあり、デザインが伝統的かつ機能的な傾向がある。
このことから、フライヤーはチラシに比べると、おしゃれで個性的というイメージを持っている人が多いかもしれない。
※この比較画像はChatGPTのDall-eで作成
フライヤーとチラシの違い(まとめ)
以上の考察からフライヤーとチラシの違いを一覧表にしてみた。
種別 | フライヤー | チラシ |
主な配布方法 | 手渡し | 折込 |
サイズ | A4以下(小さい) | B4以上(大きい) |
印刷枚数 | 1万枚未満(少ない) | 1万枚以上(多い) |
紙厚 | 90キロ以上(厚い) | 60キロ程度(薄い) |
印刷機械 | 自分のプリンター、ネットプリント | 専門の印刷会社 |
印象(イメージ) | おしゃれで現代的 | ダサくて古典的 |
日本語のチラシを英訳するとflier(フライヤー)になるということなので、ざっくりいうとチラシもフライヤーも同義語である。
しかし、もう少し違いをはっきりさせたいというなら以上のような分け方がひとつのガイドラインになるかもしれない。
この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
小規模事業者や中小企業を対象として、経営戦略立案とその後の実行支援、商品開発、販路拡大、マーケティング、ブランド構築等に係る総合的なコンサルティング活動を展開しています。実際にはWEBマーケティングやIT系のご依頼が多いです。
民民での直接契約を中心としていますが、商工三団体などの支援機関が主催するセミナー講師を年間数十回担当したり、支援機関の専門家派遣や中小企業基盤整備機構の経営窓口相談に対応したりもしています。
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