加賀野菜として有名な五郎島金時というさつまいもを生産している金沢市内の農家がAIに取り組んでいる。五郎島金時の形の判定にAIを導入しているのは農業生産法人の有限会社かわにである。五郎島金時は形と重量の違いで36種類に分類されているが、この分類を判定する作業が農作業時間の大半をしめているのが大きな課題だった。AI導入前の課題、導入後の現場はどうなったのか、これからどうなっていくのか、など研究対象としてとても魅力的である。
このかわにさんが実際にAI判定している現場に、中小企業診断士のAI研究会(KAIs)有志が見学させてもらうことができた。
KAIs
見学先は五郎島金時を生産している農業法人
今回見学したのは、有限会社かわにさんの作業場。さつまいもは収穫作業がまっさかりで、作業場には大量の五郎島金時が運ばれてきていた。有限会社かわにでは年間約80トンの収穫があるそうである。さつまいもはかなり大小の差があるが、1本あたり100グラム平均だとすると、およそ1トンあたり1万本のさつまいもあると推測できる。
収穫した五郎島金時は、水洗いしたうえで、一次選別(ひげを火で焼き粗選別)、二次選別(出荷できるレベルで判別)する。
もしも80トンのさつまいもを全量判定しようとすると80万本の判定作業が必要だということになる。仮に1本あたりの作業時間が1分だとすると80万分(133,333時間)かかる。一日あたり6時間作業しても22,222時間かかるので、10人で作業しても2,222時間という作業時間がかかる計算になる。膨大な作業時間を経て五郎島金時は出荷されているということになる。
見学会に参加したメンバーは5名
参加したKAIsのメンバーは、古賀会長、浅田、太田、原口、遠田の5名。
AI判定機器を操作しているのは、河二利勝氏。
実際に二次選別で判定している様子を動画で撮影させてもらった。
判定モードは3種類
判定モードは3種類あり、アルバイトでも半手作業が可能な「単純判定モード」、学習のために撮影を撮りためる「学習撮影モード」、実際に判定しながら誤判定したさいに正しい判定を記録する「熟練モード」。
今回は、「熟練モード」で判定作業を行っていた。
現場に導入したのはよいが、実際に現場環境で使用してみると、判定精度が想定より下がってしまった。感覚的には誤判定が半分くらいあるとのこと。
そこで再学習をする必要がでてきたため、作業をしながら学習用の写真撮影を同時に実施しているのである。
実験段階では95%の判定精度があったのに実際の現場で精度が下がった理由としては、撮影時のカメラの違い、さつまいもの背景色が一定ではない、照明の量や影の出方などが、学習モデルを作成したさいの写真の状況と違ったからだろう。また、実験段階で成績がよかったこともあり、判定する種別の範囲を広げたことも判定精度低下の理由のひとつだろう。
運用しながら精度アップにも取り組む
その意味では、現在撮りためている写真データで再学習させてモデルを作り直せば判定精度は実用レベルまで上がるはずである。
AIを導入して終わりということではない。継続的な改善の取り組みはまだまだ続く。このAI判定がうまくいくようになったら、アルバイト作業員でも判定作業ができるようになるので、大幅な作業改善となるはずである。
さらに改善を進めれば、一次選別時に二次選別まで同時に行うコンベアという設備にできるかもしれない。そうなれば劇的な工数改善となり労働時間の大幅な短縮と合理化ができる。ぜひとも改善を進めていってもらいたいし、中小企業診断士として支援できるようになりたいものである。
この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
小規模事業者や中小企業を対象として、経営戦略立案とその後の実行支援、商品開発、販路拡大、マーケティング、ブランド構築等に係る総合的なコンサルティング活動を展開しています。実際にはWEBマーケティングやIT系のご依頼が多いです。
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