中小企業がクラウドコンピューティングを活用できる環境が整ってきた。クラウドコンピューティングとは、インターネットを活用して情報サービスやアプリケーションサービスを提供するというコンピュータ構成・利用に関するコンセプトのこと。極端な例ではWEBブラウザさえ動けば、ソフトもデータもパソコンの中にはなくても使えるパソコンにするということ。今やよく使われているGmailもクラウドコンピューティングの一種といえる。
クラウドコンピューティングは2006年にグーグルCEOのシュミット氏が提唱したのが始まりのようだ。そもそもクラウドとは雲のことである。なぜクラウド(雲)という言葉が使われ始めたかというと、インターネットなどのネットワークを表すコンピュータシステムのイメージ図が、従来から雲の図で表していたため、それが由来だとと言われている。
クラウドコンピューティングは、ある意味ASPと同義語である。広義でいえば、複数のASPを使いこなすのがクラウドコンピューティングだろう。利用者側は、ソフトのバージョンも気にしなくてよいし、パソコンには最小限のソフトだけでよい。保存データをWEBストレージサービスASP(いわゆるオンラインストレージ)で管理すれば、パソコンはいつもクリーンなまま。情報漏えいやセキュリティ管理上、パソコンからのデータ流出やパソコンそのものの盗難などのリスクがかなり軽減される。
とくにモバイルでノートパソコンを利用する場合、いつでもどこでもインターネット接続環境が整うならば、クラウドコンピューティングへ移行するメリットは大きい。
モバイルするクラウドコンピューティングのメリットは
・ノートパソコン内には最小限のソフトだけですむのでサクサク動く(CPUやHD容量などが高スペックでなくともよくなるためコストパフォーマンスもよい)
・利用するソフトのバージョンを気にしなくてよい(必要なバージョンアップはASP側が行なう)
・重要なデータはノートパソコン内に置かなくてよくなるためセキュリティ面での安心度が高まる(もしもノートパソコンが盗難にあうなどしても情報漏えいのリスクは少なくなる)
・複数のノートパソコンを使い分けても操作感が同じで使い回しがしやすい(パソコンが壊れたときなど他のパソコンでも違和感が少なく移行も早い)
などがあげられる。
無料のASPなど複数のASPをうまく組み合わせて使えば、便利なうえに企業としてコストパフォーマンスもよくなる。
モバイルするクラウドコンピューティングの課題は、「モバイルの高速インターネット環境」になる。
インターネットがつなげないと、そのノートパソコンはほとんど使えない「ただの箱」になってしまうのが難点である。とくに都会と違い地方では高速通信網の整備が十分とはいえない。複数のインターネット接続手段を用意しておく必要がある。
※ASP とは、アプリケーションサービスプロバイダの略。ASPはビジネス用のアプリケーションソフトをインターネットを通じて顧客にレンタルする事業者のこと。ユーザはWebブラウザなどを通じて、ASPの保有するサーバにインストールされたアプリケーションソフトを利用する。
レンタルアプリケーションを利用すると、ユーザのパソコンには個々のアプリケーションソフトをインストールする必要がないので、企業の情報システム部門の大きな負担となっていたインストールや管理、アップグレードにかかる費用・手間を節減することができる。従来はERPなどの大規模な業務システムがレンタルの対象であったが、近年ではワープロや表計算などの日常頻繁に使われるアプリケーションソフトもレンタルされるようになりつつある。(出典:e-words)
この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
小規模事業者や中小企業を対象として、経営戦略立案とその後の実行支援、商品開発、販路拡大、マーケティング、ブランド構築等に係る総合的なコンサルティング活動を展開しています。実際にはWEBマーケティングやIT系のご依頼が多いです。
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