全国各地に地酒はある。しかし、全国でいい酒といわれる原料(酒米)のほとんどが兵庫県産の山田錦だ。山田錦以外の各県独自の品種の酒米で地酒を仕込むことができれば、もっと個性のある清酒が造られるのに。そんな悲願ともいえる地元「石川県」の酒造好適米ができた。その酒米の名は「石川門」。平成20年産の酒米「石川門」で造られた清酒が6月に6つの酒蔵から出揃った。
石川県独自の酒米づくりの中核的な研究機関は石川県農業総合研究センター。平成4年から石川県独自の酒造好適米の育成研究を始めた。主な研究テーマは、石川県の気候に合った品種の育成と、良質な米を作るための栽培法。研究を重ねて生まれてきた石川門は、極めて高品質の酒造好適米だった。良質の酒造好適米の条件は、粒が大きいことと、心白※が大きいこと。いずれも酒造好適米の代表品種である「五百万石」よりも優れ、「山田錦」に匹敵するものだったという。(※心白=米の中心部にある白色の部分のこと。心白が大きいほど、よい酒造りに適している)
この平成20年産の酒米「石川門」は石川県内4件の農家が生産している。そして、6つの酒蔵から「石川門」で造られた地元石川の清酒が造られた。平成16年から試験醸造を経て、平成21年に満を持しての発売だ。
酒米「石川門」を使った6つの酒造会社
やちや酒造(株)、 数馬酒造(株)、 (株)金谷酒造店、(株)吉田酒造店、 (株)宮本酒造店(名)中島酒造店
※酒米石川門の会
石川県で育成した4つの酒米生産者と、その酒米石川門でお酒を造る6つの酒造会社が集まり発足した「酒米石川門の会」。平成20年10月に石川県中小企業団体中央会の支援を受けた組織である。十数年かけて結実したこの取り組みが農商工連携ビジネスの好事例となることを期待する。
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