AI(人工知能/ディープラーニング)

ChatGPTで企業のロゴマーク画像を作成した場合の課題検討と対応の方法を考えてみました

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株式会社ドモドモコーポレーションのロゴをChatGPTで生成最近の生成系AIの高機能ぶりには本当に驚くことばかりです。企業や商号のロゴマークをAIで作成できないかというニーズがあったのでどのくらいのクオリティで生成できるかを自社(株式会社ドモドモコーポレーション)を例にして試作してみました。
やってみるとなかなかのレベルで、実際にこのまま利用してもいけそうなくらいのクオリティがあります。
ではこのまま利用していいのかというと少し課題もありますので、この一連の流れについて検討してみました。

ChatGPTで企業のロゴマーク画像を作成

例として株式会社ドモドモコーポレーションを試作しました

ChatGPTの有料版には「Dall-e3」という画像生成機能があります。日本語の文章で会話するだけで画像生成できるのでロゴマーク生成をしてみました。

308 Permanent Redirect

ChatGPTの画面から「Dall-e3」を選択してから対話を始めます。

まず「株式会社ドモドモコーポレーション のロゴマークをモノクロ一色でシンプルに読みやすいゴシック体をベースにして画像生成してください。」というプロンプトを入力し、対話をスタートします。

何度かやりとりをしているうちにだんだんとイメージが固まってきます。

だんだんいい感じになってきました。最後は縦横比4:3になるようにしてして作業完了しました。

ChatGPTで作成したロゴマーク

「domodomo corporation」という文字と王宮のイメージを組み合わせた白黒のロゴマーク画像ができました。

株式会社ドモドモコーポレーションのロゴをChatGPTで生成

なかなかのクオリティがありますね。このまま使ってもいいくらいの品質感です。

自分の手で少し手を入れておきましょう

しかし、ChatGPTで生成した画像を、このまま企業を代表するロゴマークとして使うのはどうでしょうか。

人の手をまったく入れていないということと、著作権などの法的な問題をクリアするためにもこのまま使うのは避けたほうが無難です。

どうしても使いたい場合は、レタッチソフトなどを使ってこの画像に少し手を入れておくのはどうでしょうか。

そこで、私は「Jtrim」というフリーのレタッチソフトを使って、この画像に少し手を入れてみました。

手を加えたのは以下の2点です。

・「株式会社ドモドモコーポレーション」という日本語文字を隠し文字として小さく画像のどこかに挿入しておく
→ビールで有名な「キリン」のオリジナル画像にも隠し文字が挿入されてますのでその手法を取り入れました

・ロゴマーク内の一部分を少し加工しておく(今回は●を入れることで画像を少し変形させました)
→このロゴで真ん中の「D」の文字は「o」と「D」を組み合わせて生成されていることを意識して手を入れました

出来上がった画像は以下のとおりです。

ほぼ完成したロゴマークですが少し修正しました

株式会社ドモドモコーポレーションのロゴをChatGPTで生成

よく見ないと違いがわからないくらいですが、少し自分で手を入れたことでオリジナル感がぐっと高まっています。

これは自己満足を高めるということもありますが、すべてChatGPTだけで生成したものではないという証拠にもなります。

なお、この段階でよく見てみると「domodomo corporation」の綴りが間違っていることに気づきました。「corporation」と表示すべきところが「corporatiion」となっています。生成の流れのなかで途中までは問題なかったところですが最終段階でなぜか「i」が2つになったみたいです。

このようなところは本当に注意をしないとまずいですね。今回はあくまで試作なので笑って終わってもいいんですが、もう一度プロンプトを入れて修正してもらいました。

あれれ。まったく違うイメージになってしまいました。(笑)

このあたりのコンテキスト(文脈)のくみ取りがイマイチなところがあります。その原因のひとつは日本語で入力しているからですね。私がChatGPTに入力するのは日本語ですが、ChatGPTはDall-e3に画像生成するためのプロンプトを英語で作成するさいにかなり意訳しているのでその段階でうまく伝わっていないかもしれません。

正確に生成したい場合は英語でプロンプトを入力したほうがいい、ということを生成上手な人から聞いていましたが、関係があるかもしれません。

完成した株式会社ドモドモコーポレーションのロゴマーク

結局は、Jtrimというレタッチソフトを使って重複していた「i」を取り除いて左右のバランスを修正しました。やはり、最後は人の手が必要ですね。

生成AIと対話して案の方向性を決めてから、人間のデザイナーに発注するのがおすすめの方法です

私の個人的な考えをここで紹介しておきます。

企業のロゴマークのような重要かつ長期間利用するオリジナルの画像に関しては、最終的には「人の手」を加えたほうがいい。

ということです。

自分で手を加えるという方法が難しいという人は、最終的な完成を人間のデザイナーに発注してはどうでしょうか。

最終的なスクリーニングをしてもらえるということや、外部からの視点(客観性)を担保することもできます。なにより、このヒトに作ってもらったという安心感があります。

また、この下部にて紹介する著作物の法的な問題をクリアする意味でも、デザイナーさんの手を介することは有効です。

AIで生成したロゴ画像を使うことの法的な課題

生成した画像を企業の正式なロゴマークにしてもよいかどうか?

生成画像がこんなに簡単でクオリティが高いとなると、これから多数の生成画像が世の中に出回るでしょう。結果的によく似た画像が頻出するということで混乱が起こるかもしれません。

このようなことは今後もついて回る問題です。そこで、ChatGPTにこの件について聞いてみました。

▼問い
ChatGPTのDall-e3を使って企業のロゴマークを生成した場合、その画像をそのまま使用すると著作権やプライバシー保護の観点からあとあとなにかの問題が起きる可能性はありますか?
またそのような問題が起きないようにするにはどうのようにChatGPTのDall-e3を活用すればいいですか?

▼回答
DALL-E(およびその派生版であるChatGPTのDall-e3)で生成された画像を商業目的で使用する際には、著作権およびプライバシーに関連するいくつかの検討事項があります。以下のポイントを理解することが重要です:

  1. 著作権:
    • DALL-Eで生成された画像に関する著作権の所有は、法域によって異なる可能性があります。米国の著作権法では、人間の著者が必要であり、AIによって生成された画像の所有権は明確でない可能性があります​1​。
    • OpenAIのヘルプセンターによれば、DALL-Eで生成された画像は、OpenAIのコンテンツポリシーおよび利用規約に従っている限り、ユーザーが所有し、再印刷、販売、および商品化する権利があります​2​。
  2. 商業利用:
    • DALL-Eで生成された画像は、商業目的で使用することができます。これにはNFTやフリーランスの仕事も含まれ、ユーザーはこれらの画像を販売する権利を持っています​3​。また、Engadgetによれば、ユーザーはDALL-Eで生成された画像を商業化し、印刷、販売、またはライセンスすることができると述べています​4​。
  3. プライバシー:
    • DALL-EやDall-e3を使用して生成された画像にはプライバシーの問題が生じる可能性がありますが、特定のプライバシーの問題に関する情報は提供されていません。しかし、これらのツールを使用する際には、生成された画像が個人を特定できる情報を含んでいないことを確認することが重要です。

DALL-EやDall-e3を活用して問題を回避するためには、以下のガイドラインを考慮することができます:

  • 著作権法の理解: あなたの法域の著作権法を理解し、AIによって生成された画像の著作権に関する最新の法律と規制を確認します。
  • OpenAIのポリシーと規約の確認: DALL-EやDall-e3を使用する際には、OpenAIのコンテンツポリシーと利用規約を遵守することが重要です。これには、画像の商業利用に関するガイドラインも含まれています。
  • プライバシー保護: 生成された画像がプライバシーを侵害する可能性がないか確認し、必要に応じて専門家のアドバイスを求めます。

▼追加の問い
日本国内でビジネスを展開する中小企業がChatGPTのDall-e3を使って作成したロゴ画像を商標として登録することに関して弊害はありますか?

▼回答
日本の中小企業がChatGPTのDall-e3を使用して作成したロゴ画像を商標として登録することに関しては、いくつかの考慮事項があります。以下に主なポイントを示します。

  1. 著作権法:
    • 日本の著作権法の観点から、AIロゴメーカーから購入したロゴを使用することは比較的安全であるとされています。これは、AIロゴメーカーの利用者は意図的に他者の作品をコピーする意図はないためで、AIシステムはさまざまな入力とデータに基づいてロゴを生成するため、既存の著作権で保護されたロゴを意図的に盗用する可能性は低いとされています​1​。
  2. 商標法:
    • 一方で、AIによって生成されたロゴマークを使用することは、商標侵害に関連するリスクをもたらす可能性があります。AIによって生成されたロゴが著作権を侵害していない場合でも、既存の第三者の商標に無意識に似ている可能性があります。商標侵害は偶然にも発生し、利用者が第三者の商標に似ていることを認識していない場合でも問題が発生する可能性があります。これは、ロゴが広く知られるようになり、後でそれを使用することが禁止されたり、損害賠償の申し立てを受けたりする場合、重大な問題につながる可能性があります​1​。
  3. 商標登録:
    • 日本の商標法とその関連規制は、日本での商標の登録と保護を規制しています。商標の審査指針は、日本特許庁(JPO)での商標出願の審査において重要な役割を果たしています。商標法は、商標が人間の知覚によって認識可能であり、文字、図形、記号、3D形状、色、またはそれらの任意の組み合わせ、または音で構成され、申請者のビジネスに関連する商品またはサービスに使用されることを要求しています​2​。
  4. 商標クリアランス検索:
    • 商標問題を回避するためには、ロゴを最終化および使用する前に徹底した商標クリアランス検索を実施することが重要です。この検索は、既存の商標との潜在的な競合を特定し、ロゴのデザインに関する情報を提供するのに役立ちます​1​。
  5. 法的対策:
    • 商標登録を検討する企業は、専門の知的財産法律家に相談することが推奨されています。これにより、商標登録プロセス中に潜在的な法的問題を回避し、将来の紛争のリスクを最小限に抑えることができます​1​。

これらの点を考慮して、日本の中小企業はChatGPTのDall-e3を使用して作成したロゴ画像を商標として登録する前に、適切な法的対策を講じることが重要です。

最終判断は自己責任、そのためにもガイドラインを作成しておきましょう

結局、最終的な判断は自己責任で、ということになりそうです。

生成AIが社会的に利用されだしてからまだ1年程度しか経っていません。今後、どのように世論形成がされ、産業利用されていくかについて、注視しながらAIと付き合っていきましょう。

ということで自社で、生成AIの活用や取り組みに関しての運用ルールを決めておくことが重要です。

生成AI活用ガイドラインを作成しましたので公開します(AIガイドライン)
生成AIの活用については各社がガイドラインを作成し、そのガイドラインに沿って運用することが望ましいといわれています。これまで当サイトでもAI活用のためのガイドライン制定については何度か言及記事をだしていました。 生成AIテストの解説のさいにガイドラインのサンプルを作成していましたが、ほぼその内容を利用して当社の生成AI活用ガイドラインとして公表することにします。

自社独自の「生成AI活用ガイドライン」を作成しておくことをおすすめします。
上記のページにはJDLAの公式な情報源からのテンプレートの紹介もありますので、これからガイドラインを作成する場合には参考になると思います。