2011年3月11日に起きた東日本大震災。すでに1年以上経過しているが、その後の震災復興支援に中小企業診断士としてなにができるのだろうか。中小企業診断士たちの仲間約20名で福島県に行ってきた。
福島県は、浜通り、中通り、会津という3つの地域にわかれており、大震災の被害状況やその後の復興のプロセスがかなり違う。もっとも被害が甚大だったのは浜通りである。浜通りの中核的な都市であるいわき市の海岸にある町は、今でも津波の爪痕が色濃く残っていた。
大津波による直接被害は町ごとすべてを奪っていってしまったという地域が多数ある。
あまり報道されないがいわき市の豊間中学校(福島県いわき市平薄磯南街63)校区の海沿いの町も津波被害からまだ回復できていない。
震災からすでにすでに1年3ヶ月以上経っているが、
豊間中学校の校庭は今でもガレキの山だった。
▼2011年4月のこのあたりの様子の動画
いわき市の豊間中学校校区の海沿いの町に丸又蒲鉾製造有限会社という食品製造会社の工場があった。津波被害で建物は基礎や土台が残っているだけだ。この写真は、その工場跡地である。
この一帯の回りの会社や民家もまったくなにも無い。家や工場だけではなく、多数の人名が失われた後だ。瓦礫は撤去してあるが、基礎が残っているだけ。その基礎やコンクリート土台に花のイラストが書いてある。あまりに悲惨だからということでボランティアたちが絵を書いたそうだ。自然災害の猛威と跡地に咲く花の美しさで胸が詰まった…。
あまりにも悲惨な状況であるが、「がれきに花を咲かせましょう」という運動が起きていた。
丸又蒲鉾製造有限会社は、工場も本社も無くなってしまった。事業継続には多数の困難が待ち受けている。しかし、この地で事業を再開した。合理性だけで判断すれば、この地での事業再開は無謀ともいえるほどの意思決定かもしれない。それでも経営者は「この地でしか事業をやる意味が無い」ということを強く感じたということであった。そこに中小企業経営者の熱い思いを感じた。経済合理性だけではなく、「なぜ事業をやるのか」という事業者魂の原点をみた思いがして、また胸が熱くなった。
なお、丸又蒲鉾が事業再開した場所は現地ではなく津波の被害を免れた高台にある第二工場予定地だった場所で、現地から100メートルほど高台にある。
丸又蒲鉾製造有限会社が事業再開を意思決定したころの新聞記事があった。
このように福島県の浜通りでは、いまだに地震と津波という甚大な被害からの復旧がまだまだままならない状況の地域があった。
一方、福島県中通りや会津では、原発の風評被害の問題が非常に大きい。
商工業が盛んな郡山市には糀文化もあるそうで、20件の糀・味噌会社がひしめいている。そのような食品産業は放射能の風評被害に頭を悩ませていた。
会津は観光業が強みで多数の温泉地もあるが、風評被害で来場者が8割減だと聞いた。
雇用問題も深刻だ。売上減少を目の当たりにして雇用できないという実情がある。そのため雇用補助などの復興支援もある。しかし雇用補助には副作用がある。ハローワークには多数の人が訪れているが、本当にはたらこうとする人は少なく補助をもらい続ける傾向が強くなっているという。「働かない若者」が増えていることで労働力が無くなってしまうこと問題だ、という中小企業経営者の声も聞いた。
復興には、中小企業者ごとの個別対応が求められていることを強く感じた。
福島民友という地元新聞にact2020の活動が掲載されました。
※「東北の力こぶ」という東北三県の中小企業診断士たちが中小企業者支援をしています。
この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
小規模事業者や中小企業を対象として、経営戦略立案とその後の実行支援、商品開発、販路拡大、マーケティング、ブランド構築等に係る総合的なコンサルティング活動を展開しています。実際にはWEBマーケティングやIT系のご依頼が多いです。
民民での直接契約を中心としていますが、商工三団体などの支援機関が主催するセミナー講師を年間数十回担当したり、支援機関の専門家派遣や中小企業基盤整備機構の経営窓口相談に対応したりもしています。
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