輪島市の塗箸工場で塗箸の製造工程を見学させていただきました。塗箸の製造工程は機械による自動化があまり進んでいないようで、重要な工程のほとんどが手作業でした。
塗箸の素材は木材で、塗装に使う漆や顔料なども自然の素材ばかり。職人技で一本一本作られていく塗箸を見ていると、とても愛着がわいてきました。人の口に直接ふれる頻度がもっとも多い食器が箸だから、ちゃんとした箸を使いたいものだと思いました。
輪島塗産地の塗箸
輪島といえば輪島塗ですが…
輪島市といえば輪島塗で有名な漆器産地です。輪島塗は日本国内でもっともブランド力の高い伝統的工芸品としても定評があります。とくに椀や重箱や屠蘇器などの食器類は非常に充実しています。
しかし、そんな有名な輪島塗産地で作られているのに「輪島の塗箸」は意外に知られていなですね。なぜなんでしょうか?
伝統的工芸品の塗箸ならば若狭塗りが有名
漆器の塗箸なら福井県小浜市(若狭地区)の若狭塗りが有名で、塗箸の約8割は「若狭塗り」です。若狭塗りは伝統的工芸品に指定されています。NHKの連続テレビドラマの「ちりとてちん」での舞台になったこともあり、塗箸といえば若狭塗りといわれるくらい有名です。
若狭塗りといえば、ほとんど「塗箸」というイメージが定着しているといえます。
輪島塗の定義は非常に厳しい
一方、輪島塗は定義が厳しいです。塗箸のことだけを厳密にとらえるならば、輪島塗箸は輪島塗の定義に完全一致していないようです。
輪島塗は厚手の木地に生漆と米糊を混ぜたもので布を貼って補強する「布着せ」を行ない、生漆と米糊、そして焼成珪藻土を混ぜた「地の粉」といわれる下地を何層にも厚く施した堅牢な漆器です。輪島塗の工程は124もあると言われています。
そして、一般的に「塗箸」には輪島塗の定義である「布着せ」という工程がありません。他の理由もあるようですが、輪島塗の定義を厳密に追求すると「輪島の塗箸は輪島塗とは言いがたい」ということになってしまうようです。
輪島塗の定義
伝統的工芸品に指定された際の通商産業省(当時)による輪島塗の要件は次のとおり(昭和50年5月10日通商産業省告示第172号)。※以下はウィキペデアからの引用
伝統的な技術または技法
下地塗りは、次の技術または技法によること
木地に生漆を塗付した後「着せもの漆」を塗付した麻または寒冷紗を用いて「布着せ」をすること。
生漆に米のり及び「輪島地の粉」を混ぜ合わせたものを塗付しては研ぎをすることを繰り返すこと。
上塗りは、精製漆を用いて「花塗」または「ろいろ塗」をすること。
加飾をする場合は、沈金または蒔絵によること。
木地造りは、次のいずれかによること。
挽き物にあっては、ろくろ台及びろくろかんなを用いて形成すること。
板物または曲げ物にあっては、「こくそ漆」を用いて成形すること。伝統的に使用されてきた原材料
漆は天然漆とすること。
木地は、ヒバ ケヤキ カツラ もしくはホオノキ、またはこれらと同等の材質を有する用材とすること。
このように輪島塗の定義は非常に厳しいです。輪島塗という人気ブランドだけに偽物や真似をされないような防御的な意味もありますので、やむを得ないでしょうね。
輪島塗産地の塗箸は価値がある
この「輪島塗の厳しい定義」があるため、輪島の塗箸は「輪島塗」というブランド名を堂々と名乗ることが困難です。
しかし、このことは輪島の塗箸のクオリティが低いということに直結しません。
厳しい定義の伝統的工芸品の輪島塗産地だからこそ、当地で作られる塗箸のクオリティは高く、非常に堅牢だし、蒔絵などを施した塗箸も多く、すばらしい価値を持っています。
伝統的工芸品を取り巻く環境は厳しいですが、このようなすばらしい技術と文化が伝承されていくことを願います。
オリジナル製造の「名入れ箸」は地域や企業のPRやギフト品としても使われています
輪島市の岩多箸店さん
このように手作業で製造される輪島塗箸の用途は、個人需要もさることながら企業や地域のPR用としても人気が高いようです。
地域や企業がPR用のちょっとしたギフトやおみやげ品として、ロゴ入りや企業名入りのオリジナル製品としても使われています
当社も名入れ箸を周年のギフトとして岩多箸店さんに作っていただいたことがありますが、とても評判がよかったです。岩多箸店さんは輪島塗の組合にも入っている信頼できる企業さんです。
岩多箸店
https://www.wajimahashi.com/
〒928-0042 石川県輪島市山本町ヲシヤ田8-7
TEL 0768-22-0346
この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
小規模事業者や中小企業を対象として、経営戦略立案とその後の実行支援、商品開発、販路拡大、マーケティング、ブランド構築等に係る総合的なコンサルティング活動を展開しています。実際にはWEBマーケティングやIT系のご依頼が多いです。
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