伊勢市の「えびや大食堂」といえば、需要予測AIで名を馳せた飲食店DXの有名店です。とくに当店が自社開発した「TOUCH POINT BI」というクラウドシステムが秀逸で、このシステムを導入している飲食店やフードビジネスの企業が続出しています。
実は以前にDX道場というAI勉強会が石川県で開催されたさいの講師が、この店を運営する会社役員の常盤木(ときわぎ)さんでした。そのような縁もあり一度行ってみたいお店が「えびや大食堂」だったのです。
えびや大食堂
伊勢うどんとビールをいただきました
えびや大食堂は、伊勢神宮の内宮入口からすぐ近くにある飲食店です。
このイラストマップでみてもわかるとおり、本当に伊勢神宮の内宮入口からすぐ近くにあります。
写真で見ると、右側にある赤福のすぐ後ろあたりにお店があります。
えびや大食堂の入口にきました。
この日は日曜日ということもあり大盛況です。混雑しているお昼のピーク時間を少し過ぎた14時少し前くらいに入店しました。すてきな接客をしてくれるお店です。店員さんはとってもフレンドリーです。めんどくさいおぢちゃんにかまってくれてありがとうございます。
オーダーはタブレットを使った電子オーダーシステムです。スムーズにオーダーできました。
オーダーしてから料理が運ばれてくる時間が早いです。飲み物はオーダーしてすぐにテーブルに運ばれてきて驚きました。注文したのはビールです。日曜なので昼からビールをいただきました。冷たくておいしかったです。
伊勢うどんもいただきました。伊勢うどんってやわらかくって太くって独特ですね。さぬきうどんとは真逆の方向のうどんでした。他に枝豆などのおつまみも注文しましたが、提供スピードが早かったです。
なお、飲食後にとなりにある土産店でみやげものを購入すると割引になるというクーポン券をいただきました。
飲食後の支払いはセルフ決済です。ここは完全に無人で運営できていました。もしものときには、このすぐ横にみやげ店のレジ係の人がいるのでサポートしてくれます。
私はPayPayの読み取り式で決済しました。
飲食後はみやげ店舗に誘導
セルグレジのすぐ横にみやげ店があり、スムーズな動線で回遊できるようになっています。ついつい買ってしまいますね、これはうまい。
こうして、店舗全体で「人」のリソースをどのように使っているを見ると、DXを単なる合理化だけに終わらせていないことがわかります。
・オーダーや決済などはITが持っている合理性を全面にだす
・接客などは人が持っているホスピタリティを存分にアピールする
フレンドリーな接客や、親切な応対などは人によるところが大きいです。一方で、オーダーや決済などはデジタルに慣れている現代人にとっては端末を使ったほうが便利ですから、お店としては合理化できます。
このようにメリハリをつけることで、店内の「人」が接客に重点的に対応できるので、来店客の評価もあがるというわけです。実はかなり人を重視した働き方に取り組んでいるなと思いました。さすがです。
このようなことは体験してみないとわからないですね。
あらためて店頭を観察
みやげものを購入してからお店の外にでました。
みやげ店と飲食店は隣接しています。
あらためて飲食店の前に来ると、玄関の左上にカメラがあることがわかります。
このカメラは人の動きをデータとして収集しAIで分析するというために設置されています。
データはクラウドで管理されているようで、管理者はいつでもカメラの動画や録画を見ることができるようです。
この人の流れをデータ化して分析することで需要予測にもつなげているのですね。
「KANSAI DX AWARD 2023」で第1回グランプリを受賞
この「えびや大食堂」を経営している有限会社ゑびやは、「KANSAI DX AWARD 2023」で第1回グランプリを受賞しました。この受賞は、サービス産業におけるデジタル変革(DX)の先進的な取り組みとして評価された結果です。
ゑびやは150年の歴史を持ち、伊勢神宮おはらい町で食堂や土産物店を営む老舗で、かつてはアナログな経営スタイルが課題でした。
しかし、事業承継後、ITを駆使して経営を「見える化」し、顧客満足度と生産性を大幅に向上させることに成功しました。
具体的には、POSレジの導入や独自のデータ分析システム「TOUCH POINT BI」の開発により、売上を4倍、利益率を10倍に引き上げました。
「TOUCH POINT BI」は、高精度の来客予想システムを含む、ゑびやの独自サービスです。ビッグデータに基づく来客予想やトレンド分析を可能にするITシステムであり、同システムの外販も行っています。さらに、社内でのDX人材育成にも力を入れ、知識ゼロからCIOを育成するなど、自社だけでなく他の企業や行政の生産性向上にも貢献しています。
この成功を基に、同システムを外販し、他の飲食・小売業へのDX支援を展開しています。「TOUCH POINT BI」は、来客予測やトレンド分析を行うITシステムで、新規性と独創性が評価されました。
また、ゑびやでは、外部からエンジニアを採用せずに社内でDX人材を育成し、知識ゼロの社員をCIOにまで育て上げるなど、人材育成にも力を入れています。
この取り組みは、DXを通じて自社のみならずサービス産業全体の課題解決への貢献、ビジネスモデルの変革、及び幅広いDX推進が高く評価されました。
ゑびやのDX推進は、単に技術的な変革に留まらず、業界全体への影響と人材の育成にも目を向けた取り組みであることが、この受賞における重要な要素です。
えびやの事例を紹介した文献など
すでにえびや大食堂の成功事例はあちこちで紹介されています。その一部をここでも紹介しておきます。
▼経済産業省で紹介された成功事例紹介の資料
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/distribution_industry/pdf/003_04_00.pdf
以下はこのPDFの要約です。
約150年の歴史を持つ飲食店「ゑびや」のデジタルトランスフォーメーション(DX)成功事例について紹介しています。堤庸輔氏(有限会社ゑびや専務および株式会社EBILAB取締役/CIO)によると、ゑびやは伊勢市の観光地で長い間事業を続けており、現代では機械学習や画像解析AIを活用しています。
10年前、同社は古い管理方法(そろばんや手切り食券)と低い食べログ評価(2.86)に直面していましたが、Azure、PowerBI、MLを含む様々なITツールと戦略を導入し、飲食業のDXに成功しました。具体的には、POSレジシステムの更新、データ分析、来客予測の開発、画像解析AIカメラの導入などが挙げられます。これらの施策により、運営効率と顧客満足度が大幅に向上しました。
また、これらの成功体験を他の飲食店や小売店にも共有し、DXを推進するサービスを提供しています。こうした取り組みは、自社だけでなく、全国の地方自治体や中小企業にも広がっています。
この事例は、技術的なスキルがないチームメンバーでも、適切な研修と取り組みを通じて、成功的なDXが可能であることを示しています。さらに、新しい技術を「業務の当たり前」として取り入れ、スタッフ全員が利用できる環境を整えることの重要性を強調しています。
この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
小規模事業者や中小企業を対象として、経営戦略立案とその後の実行支援、商品開発、販路拡大、マーケティング、ブランド構築等に係る総合的なコンサルティング活動を展開しています。実際にはWEBマーケティングやIT系のご依頼が多いです。
民民での直接契約を中心としていますが、商工三団体などの支援機関が主催するセミナー講師を年間数十回担当したり、支援機関の専門家派遣や中小企業基盤整備機構の経営窓口相談に対応したりもしています。
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