社内の連絡にはメールよりもチャット型ツールが便利ですね。外出先でも連絡が取りやすいこともあり、パソコンよりもスマホを使うことが増えています。
さて、そのさいに個人スマホでLINEを会社の業務で使っていませんか?
大企業ではそのようなことはまず有りませんが、中小企業でよく見る運用方法です。このような使い方にはちょっとした問題がありますので問題提起しておきます。
社内SNSについてツール選択を再検討しましょう
個人のLINEを会社の業務で使うさいの問題とリスク
LINEを会社内の連絡手段として使用する場合、いくつかの問題やリスクが生じる可能性があります。以下に主な点を挙げます。
- プライバシーとセキュリティの懸念: LINEはエンドツーエンドの暗号化を提供していません。これにより、重要なビジネス情報が外部に漏洩するリスクが増加します。
- データ管理の困難さ: LINEでの通信データは個々の端末に分散して保存されるため、情報の一元管理が難しくなります。これにより、情報漏洩のリスクが高まるほか、法令遵守の観点からも問題が生じる可能性があります。
- 個人の端末を業務利用: LINEを会社の業務で使うということは、個人の端末(スマホ)を業務利用するということになるため、その利用料金や通信料金をどのように会社で負担すべきかという問題があります。
- アカウントのセキュリティ問題: 従業員が個人のLINEアカウントを業務で使用する場合、アカウントの乗っ取りや不正アクセスのリスクが高まります。また、このことは会社でコントロールしにくいです。
- 非公式なコミュニケーションの増加: LINEは気軽に使えるツールであるため、非公式なコミュニケーションが増え、業務の進行が不透明になることがあります。
実際に、社員が辞めてしまった場合の問題が大きいです。
もしも、会社が業務用にスマホ端末を貸与し、そのスマホでLINEアカウントを作り連絡していたのなら、スマホ端末を回収すればよいでしょう。
しかし、そのような端末管理を厳格に運用をしている企業は少ないです。
LINEを使うということは、ほとんどが個人のスマホを利用しています。過去の情報記録について、会社側から個人のスマホ内のデータを強制的に消すということは不可能です。
BYOD(Bring Your Own Device)ポリシーはありますか?
そもそも個人の端末を会社の業務で使うということを容認すると、会社としては本来それなりの費用を支払う必要があります。
個人のスマートフォンやパソコンを業務に使用する際に、会社が一定の利用料金を支払ってセキュリティや管理を強化することを「BYOD(Bring Your Own Device)ポリシー」と呼ぶことがあります。
BYODでは、従業員が自身のデバイスを職場に持ち込み、それを業務に使用しますが、セキュリティ確保やデバイス管理のために企業が支援を行うことが一般的です。
また、会社が費用を補助することを「BYOD補助」とも呼ぶことがあります。この場合、セキュリティソフトの提供や、通信費用の一部負担などが含まれることが多いです。
BYODポリシーを定めて運用しているのであれば、個人のスマホで管理しているLINEの削除命令やデータ削除の要請は可能になるでしょう。
ですが、中小企業で個人スマホのLINEを使い業務連絡をしている場合で、BYODポリシーを決めて運用している例は、ほぼ見たことがありません。ここがけっこう問題になりそうです。
他のチャット型ツールを比較してみましょう
LINEのようなチャット型ツールで、社内SNSとして代替できそうなITツールを調べてみました。
ツール | スマホでの使いやすさ | セキュリティ面 | 料金や運用コスト | 総合評価 |
---|---|---|---|---|
LINE | 最高 | 低(エンドツーエンド暗号化非対応) | 基本無料(有料のLINEワークスは別物) | 中 |
Microsoft Teams | 中 | 高(エンドツーエンド暗号化対応、企業向けセキュリティ機能) | 無料プランあり、Office 365の一部として利用時は高額に | 高 |
Slack | 中 | 高(エンドツーエンド暗号化対応、高度なセキュリティオプション) | 無料プランあり、有料プランは比較的高額 | 高 |
Google Workspace | 中 | 高(エンドツーエンド暗号化対応、Googleのセキュリティ基盤) | 無料プランなし、有料プランは機能に応じて | 高 |
チャットワーク | 高 | 中〜高(データ暗号化、二段階認証) | 無料プランあり、有料プランは中価格帯 | 高 |
使いやすさではLINEが最高でしょう。ですが、業務利用という観点からは避けたほうがよいです。
もしもLINEを使うのなら、BYODポリシーを定めて運用するか、スマホ端末を会社から貸与するのがよいです。
そうでないのなら、代替ツールとして、上記のような選択肢があります。その中で、中小企業ならチャットワークがよいと思います。
チャットワーク(Chatwork)を推薦する利用
チャットワークは日本国内で広く使われているビジネスチャットツールで、特に中小企業やリモートチームに人気があります。その特徴や利点をいくつか挙げます。
チャットワークの特徴
- 多機能性: チャット、タスク管理、ファイル共有、ビデオ会議など、ビジネスに必要な機能が一つのプラットフォームに統合されています。また、スマホのアプリでも使えますが、パソコンではブラウザでも使えるので便利です。
- セキュリティ: データの暗号化やセキュアなログインオプション(二段階認証など)を提供しており、企業が安心して使用できるセキュリティ対策が施されています。
- ユーザーフレンドリー: インターフェースが直感的で使いやすく、導入しやすいのが特徴です。日本語サポートも充実しているため、国内ユーザーには特に便利です。
- 拡張性とカスタマイズ性: ビジネスの成長に合わせてアカウントを拡張することが可能で、多様なニーズに対応するためのカスタマイズオプションも豊富に用意されています。
- アカウント管理がしやすい: 社員が退社したときなどは、会社がそのアカウントのパスワードを変更したり、削除したりすることができます。アカウントを削除すれば個人のスマホにChatworkアプリが残っていたとしてもログインできないので情報は隔離されます。
- 無料でも使える: チャットワークは無料アカウントでもかなり使えます。無料アカウントの場合、グループチャットでは過去40日間までしか情報を遡れませんが、それで十分な場合が多いです。
なお、有料アカウントに変えれば制限がなくなります。有料化した場合も月額500円程度なので安いです。
LINEとの比較
LINEはこれまで何度も個人情報漏洩を起こしており、国から情報セキュリティに関して何度も注意を受けています。韓国のネイバーとの資本関係が強いため国内だけで管理できていないことがリスクです。
一方、チャットワークは、日本国内でのビジネスチャットとしてNO1です。チャットワークは、LINEよりもビジネス向けに特化しており、情報管理やセキュリティ面で優れています。業務での正式なコミュニケーションツールとして、より適していると言えるでしょう。
私は2015年からチャットワークを利用しています。
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この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
小規模事業者や中小企業を対象として、経営戦略立案とその後の実行支援、商品開発、販路拡大、マーケティング、ブランド構築等に係る総合的なコンサルティング活動を展開しています。実際にはWEBマーケティングやIT系のご依頼が多いです。
民民での直接契約を中心としていますが、商工三団体などの支援機関が主催するセミナー講師を年間数十回担当したり、支援機関の専門家派遣や中小企業基盤整備機構の経営窓口相談に対応したりもしています。
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