無農薬野菜を育てている石川県の農家「風来」が新たなチャレンジをしている。風来の源さんこと西田栄喜さんは、2000年に独立就農してから無農薬野菜農家として生計を立ている農家のプロ。自称「日本一小さい農家」というが、今や全国から注目されており視察依頼が殺到。無農薬野菜農家がネット通販というダイレクト販売チャネルだけで成り立つ農業ビジネスモデルを展開している強者である。その強者は志も高い。無農薬栽培の上を行く「無肥料栽培」を目指しているという。無農薬で栽培するだけでも困難なのに、肥料も使わないというのは…まさに究極の自然農法。そのチャレンジに注目だ。
無肥料栽培は炭素循環農法で
無肥料栽培と簡単に言うが、実は地中からの養分なしでは野菜はうまく育たない。やはり地中からなにがしかの養分を吸わないと野菜は十分に大きくなってくれない。そこで、炭素循環農法である。
炭素循環農法とは、農薬も肥料も使わない農法である。従来型の農法では堆肥などチッソ成分を肥料として投入するが、その方法だと腐敗菌の働きで肥料が分解され養分となり、その結果として土は腐敗型となる。一方、炭素循環型農法では廃菌床やチップや半生の草など炭素率(C/N比)の高いものを投入し、それを発酵菌の働きで分解し養分とするが、結果として土は発酵型になる。
腐敗型も発酵型も微生物の働きが重要で、「野菜が吸いやすい養分に分解する」という点では同じである。
違いは酵素を使う「発酵型」かどうか。発酵型は堆肥などチッソ成分ではなく炭素成分を必要とする。画期的なのは炭素成分として雑草を使うことである。つまり雑草を畑の養分にするのが発酵型の農法である。これまで畑の敵のような存在だった雑草が、180度転換して畑の大事な養分に変わってくれるのだ。これはすごい。コペルニクス的発想の転換である。
発酵型の微生物を活用している農家というか農法は少数派だ。しかし、この方法はむしろ伝統的に自然の中にある方法だといえる。
山土(やまつち)がそうだ。自然の山々の土は落ち葉や枯葉や雑草などを酵素が分解して地中養分とし、その結果として樹木が大きく育っている。山々の動物の死骸が見当たらないのも山土が酵素の力で分解しているからだという。…このような話を、微生物研究をしていたある方から聞いたことがある。
炭素循環農法は概念的にとても自然ですばらしい農法だと感じた。
炭素循環農法で畑を変えていくために必要な投資
無肥料栽培に挑戦することを決めた風来には、その農法を実現するために設備投資が必要になった。
発酵型の畑に変えるには、大量の炭素成分を畑に投入することになる。ある資料によれば10アール(1反歩)あたり1トンもの雑草や木材の切れ端や枝などを5センチくらいに切り刻んで地表5センチ程度の地中に返すのがよいそうだ。しかし、その作業は人力だけではとても大変だ。
それで「ハンマーナイフモア」という小型耕うん機のような機械である。作業を効率的に行なうのにこのような機械が使いやすいそうだ。ネットで価格を調べると、だいたい30万円以上するような農業機械だ。
風来は、その購入支援をfaavo.jpの「石川発!日本一小さな農家の挑戦・無農薬より上を目指して!」で呼びかけていた。一口千円から、この取り組みを応援することができる。支援額によって「お返し」もさまざまというのもおもしろい。
とにかくユニークで革新的な取り組みには天才的な才能を発揮する風来。ささやかだが支援をさせていただいていた。
支援すると送られてくる野菜や無農薬の土がうれしい
1回めのお返しが届いた。10種類以上はあるかという野菜セット。その野菜セットの箱の中には、ばんばさんのお米3合と無農薬の土と野菜の種も入っていた。小松菜と水菜の栽培方法も丁寧に説明してあるリーフレットも入っていた。親切な野菜農家「風来」に感謝である。
この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
小規模事業者や中小企業を対象として、経営戦略立案とその後の実行支援、商品開発、販路拡大、マーケティング、ブランド構築等に係る総合的なコンサルティング活動を展開しています。実際にはWEBマーケティングやIT系のご依頼が多いです。
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