あなたは、ジャム売場でジャムを選ぶとき、選択肢が6種類のほうがいいですか?それとも24種類のほうがいいですか?
「商品の選択肢は多いほどよい」と思われがちですが、実は多すぎると迷った挙げ句に買わないということはないですか?
実際にこの謎を解くために、シーナ・アイエンガー教授は「ジャムの実験」を行っています。この実験は、選択の多様性が消費者の購買行動にどのように影響を与えるかを明らかにし、私たちがどのように商品を提供するかについての重要な洞察を与えてくれます。
シーナ・アイエンガー教授の「選択の科学」
選択の科学について
「選択の科学」という著書は、コロンビア大学ビジネススクールの教授であるシーナ・アイエンガーによる選択に関する研究を解説したベストセラーです。
- 選択肢が多いと逆に「選択」ができなくなるのか
- なぜ自分の選択に失望することが多いのか
- 他人に選択を委ねたほうがよい場合は
- 出身や生い立ちは、選択にどう影響を与えるか
ジャムの販売実験
「選択の科学」で紹介されている実験は非常にシンプルです。カリフォルニアのスーパーマーケットで行われたこの研究では、2つの異なる日にジャムの試食ブースを設置しました。
一日目は24種類のジャムを展示し、もう一日は6種類のみを展示しました。この両日における顧客の行動と購入率を比較しました。
24種類のジャム
24種類のジャムを並べ、自由に試食をしてもらい、販売しました。
6種類のジャム
別の日には、6種類のジャムを並べ、自由に試食をしてもらい、販売しました。
実験結果
実験の結果は驚くべきものでした。24種類のジャムが提供されたときは多くの顧客がブースに立ち寄りましたが、実際に購入に至ったのはわずか3%に過ぎませんでした。
一方、6種類のジャムを提供した日は、ブースに興味を示して立ち寄った顧客数は24種類のときより減少しました。しかし、購入に至った顧客は30%に達しました。最終的にも6種類のジャムの展示のほうが売上高がはるかに多かったのです。
つまり
24アイテムの展示→購入率3%
6アイテム→購入率30%
購入率だけで比較すると、なんと10倍もの差があったということです。
このマーケティング実験については各方面で引用が多く、「ジャムの法則」とか「決定回避の法則」とかという呼ばれ方をすることがあります。
選択肢が多すぎると、人は「選択そのもの」を避ける
この実験から得られる教訓は、選択肢の数が多すぎると消費者は圧倒され、最終的には選択そのものを避けてしまう傾向があるということです。この現象は、「選択の過多」とか「選択のパラドックス」とも言われています。
消費者が選択肢を簡単に比較できるような状況を提供することが、購買意欲を高める鍵となります。
最適な選択肢は6以下
では最適なアイテム選択肢は6である、と結論づけていいかというと、それほど単純ではないようです。
実際に6がいいとか、5にしぼったほうがいいとか、ベスト3にしたほうがいいとか、様々な意見があります。いろんなケースで試したところ、「3~6」という選択肢だと販売成績がよく、7種類を超えるととたんに売れにくくなるということです。
WEBサイトの上部にあるグローバルメニューについても同様の実験結果があります。メニューの選択肢が7以上になるとほとんどクリックされなくなるということです。WEBサイトのグローバルメニューは最大でも6、できれば5以下というのがよいといわれています。
人の手には指が5本あります。これは私の邪推ですが、5つの選択肢というのは指で数えやすいので、人間の脳にも負担が少ないのではないかと思います。
脳は負担が多い計算や選択を避けるという特性がありますので、脳負担の少ない選択肢にするということが重要です。
マーケティングへの応用
この洞察は特に、商品の展示方法や販促活動に直接的な影響を与えるものです。商品ラインナップを絞り込み、消費者にとって最も魅力的な選択肢を前面に出すことで、より多くの販売が期待できます。
中小企業の経営者や販促担当者は、顧客が容易に理解し選択できるような環境を整えることで、顧客の満足度を高め、売上の向上を図ることが可能です。
新商品は逆効果かもしれません
選択肢を増やしてあげようとして、新商品を増やしたり、あらたな商品を仕入れたりすることは、ひょっとしたら逆効果になっているかもしれません。
とくにショッピングセンターや複合的な店舗が入っている売場では、他店にも多数の品揃えがされていることを理解しておきましょう。たくさんありすぎて消費者は商品選択を迷っていると思ったほうがいいです。
絞って訴求したほうが効果的です
むしろ、「おすすめ商品はずばりこれ!」とか「店長イチオシ!」というような選択肢を絞るような訴求のほうが有効かもしれません。
自店舗では買ってもらいたい商品をより絞り込んで訴求したほうが効果的なことが多いです。
ジャムの実験は、選択の過多が消費者に与える影響を見事に示しています。この知識を活用して、効果的なマーケティング戦略を展開しましょう。より少ない選択肢で、質の高い顧客体験を提供することが、最終的な購入決定に大きく寄与するでしょう。
この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
小規模事業者や中小企業を対象として、経営戦略立案とその後の実行支援、商品開発、販路拡大、マーケティング、ブランド構築等に係る総合的なコンサルティング活動を展開しています。実際にはWEBマーケティングやIT系のご依頼が多いです。
民民での直接契約を中心としていますが、商工三団体などの支援機関が主催するセミナー講師を年間数十回担当したり、支援機関の専門家派遣や中小企業基盤整備機構の経営窓口相談に対応したりもしています。
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