12月7日(土)の哲学講座に参加してきました。今回のテーマはレヴィナスです。エマニュエル・レヴィナス入門「ある脱出の哲学」というテーマで、講師は金沢大学の平石晃樹先生でした。
レヴィナスには「汝殺すなかれ」という有名な一節がありますが、レヴィナスを学んだことがない私にこのような高度な内容についていけるかどうかちょっと心配です。とにかく今年は哲学講座に年間一括申し込み済みなので、時間が許す限りは参加しようということで受講してきました。
レヴィナス入門「ある脱出の哲学」という哲学講座
今回の講座内容はこんな事前告知でした
西田幾多郎哲学館のホームページやSNSにて以下のような告知がありました。
ロシア帝政末期のリトアニアに生まれたエマニュエル・レヴィナスは、大学進学を機にフランスに移り住み、やがてフランス語でじしんの哲学を練りあげ、世に問うてゆくことになります。〈汝殺すなかれ〉と発する他人の〈顔〉について語るその思想は、20世紀の哲学に強いインパクトを与えました。この講座では、「脱出」をキーワードにレヴィナス哲学の要点を描き出したうえで、そのアクチュアリティを探り当てることを試みたいと思います。
〇日時:12月7日(土) 13:30~15:30
〇講師:平石 晃樹氏(金沢大学准教授)
〇会場:石川県西田幾多郎記念哲学館 哲学ホール
〇参加費:500円 ※申込不要
参加費は当日受付にてお支払いください。〇問い合わせ先
076-283-6600(メール:nishida-museum@city.kahoku.lg.jp)■講座の詳細は下記URLからご覧いただけます
https://www.nishidatetsugakukan.org/2024nisidaskitaroutetugakukouza-new.pdf
以上が引用です。
12月7日(土)は雨模様でした
この日はあいにくの雨模様でした。ですが金曜日までの天気予報では雪になるかもしれないということだったので、雨ならまだ「まし」ですね。ラッキーだと思うことにします。
フロントに入ると哲学講座の案内がされています。今回も地下ホールが会場です。
地下ホールは螺旋状の回り階段を降りたところにひっそりと入口があります。
本日の講座は「洞窟の比喩」からスタートしました
本日のテキストを見ると、「洞窟の比喩」の舞台設定というイラストが目立ちます。この「洞窟の比喩」はレヴィナスではなく、プラトンの代表作「ポリティア」で紹介されたものです。
まずはこの「洞窟の比喩」を理解するところから始まりました。そこで、ちょっと講座から離れて、プラトンの洞窟の比喩を確認しておきましょう。
上記書籍の写真は、講座終了後に当館の図書室に立ち寄りパラパラと調べたものです。「90分でわかるプラトン」青山出版社の一部です。この書籍では「洞窟の比喩」についてイラスト付きで解説がありましたのでわかりやすかったです。
プラトンは「洞窟に閉じ込められた囚人たちが、影だけを見てそれが真実だと思い込んでいる」と語ります。しかし、教育や哲学を学ぶことで洞窟の外に出られ、本当の世界(善のイデア)を知ることができる。そんな話です。
これってどういうことかというと、人は無意識に「思い込み」や「偏見」にとらわれているということ。それを超えて、真実を探り、本当に良いものを見つけるのはとても難しいというメッセージなんですね。
ただ、洞窟から抜け出した人が社会で理解されるかというと、そこにも壁がある。この比喩を通して、哲学的な目覚めがいかに社会とズレるかも示しています。
講座の内容に戻ります。
レヴィナス哲学から見た「洞窟の比喩」
さて、この「洞窟から脱出して真実を見る」という話を少し違った視点で捉えたのがレヴィナス。彼は、「他者」との関係性に注目します。
人は自分の欲求を満たすことで完結しがちな存在。でも、他人と向き合うと、自分のエゴや無邪気さを問われることになります。他人の「顔」と出会うことで、自分だけの視点から脱して、もっと深い倫理的な気づきが得られるというわけです。
これは、誰かに「こうしろ!」と無理やり引っ張られるのではなく、他者との関わりを通じて自発的に変わることを意味しています。
「教えられること」の大切さ
レヴィナスの考え方の肝は、「他者からの問いかけがないと、自分だけでは気づけない」という点。つまり、「教えられる」という受動的な体験が、私たちの成長や覚醒には欠かせないということです。
今日のまとめ:哲学と倫理の旅
プラトンもレヴィナスも、「より良く生きる」というテーマに向き合ってきました。
ただしアプローチは違います。
プラトンは「真実への目覚め」、レヴィナスは「他者との関わり」を強調しています。
共通するのは、人間は現状に満足せず、自らを問い直し続ける存在であるべきだということではないかと思いました。
西田幾多郎記念哲学館のフェイスブックより
この講座の紹介が上記のようにされていました。
中小企業経営者に向けた「脱出」
当日受講した講座に関する自分のメモをChatGPTo1に読ませました。そのうえで、「中小企業経営者に対し、わかりやすく表現したいのでリライトしてください。」というプロンプトで生成した文章がなかなかよかったので、ここで紹介します。
なお、ChatGPTの「o1」は推論ができます。考えることができるので、単なる生成AIとは少し違うアウトプットをしてくれます。
「脱出」と「他者からの問いかけ」――哲学が教えるビジネスのヒント
皆さんは日々の業務や人材育成、顧客対応の中で、「思い込み」や「固定観念」に囚われてしまうことはありませんか?
これはビジネスを続けていく上でよくある現象です。
そこで、古代ギリシャの哲学者プラトンと、20世紀フランスの哲学者レヴィナスの考え方をヒントに、「抜け出す力」について考えてみたいと思います。
プラトンの「洞窟の比喩」:思い込みからの脱出
プラトンは「洞窟の比喩」という有名な話で、人間が生まれつき固定観念の中に閉じ込められている様子を描きました。洞窟の中の囚人たちは、壁に映る影だけを世界の全てだと勘違いしています。けれども、一人の囚人が外の世界を見て「本当の光」や「善」という価値に気づきます。この経験は「自分たちは今まで狭い視野でしか物事を見ていなかった」という気づきをもたらすのです。
ビジネスでいえば、この「洞窟」から抜け出す勇気は、新しい市場や顧客ニーズを発見する力と言えるでしょう。「今までこれでうまくいってきたから大丈夫」という発想に固まらず、新たな視点を取り入れることが経営革新につながります。
レヴィナスの「他者との出会い」:人との関わりが視野を広げる
一方、フランスの哲学者レヴィナスは、私たちが自分一人の感覚や満足だけで生きていると、知らず知らずのうちに「独りよがり」になってしまうと示しました。何かを享受したり、自分の生活を満たしたりすることは必要なことですが、それだけでは新しい価値観や発想に気づきにくい状態に陥ります。
ここで大切なのが「他者」です。お客様、従業員、取引先、地域社会――こうした「他人」との関わりによって、私たちは自分では想像できなかった気づきを得ます。
たとえば、長年勤めてくれている社員の目を通すと、自分が社内で見落としていた問題点が浮かんできます。
顧客から寄せられる要望やクレームは、気づかなかったニーズを教えてくれます。
このように「他者」という存在は、私たちが「自分だけの満足」から抜け出し、改善や革新のヒントを得るためのカギなのです。
「教えてもらう」姿勢が組織を変える
レヴィナスは「一人で自分を正すことは難しく、他者から問われることで初めて自分の無邪気さ(思い込み)に気づく」と説いています。
これはビジネスにも当てはまります。顧客や従業員からのフィードバック、他社や専門家との対話がなければ、私たちのビジネスはいつの間にか固定観念に閉じ込められてしまいます。
「もっとよい働き方はないか」「顧客に本当に満足してもらえているのか」を外部から問われることで初めて、「あ、そうか!こうして改善できる!」といったアイデアや行動につながるのです。
まとめ:より良い経営のために視野を広げる
・プラトンの洞窟の囚人のように、自分が慣れ親しんだ考えややり方に留まらず、新しい光(価値観・視点)を取り入れることが大切。
・レヴィナスの示す「他者」との関わりは、私たちが一人では気づけない弱点や改善点を教えてくれる。
・外部から問いかけられること、教えてもらうことを歓迎する姿勢こそが、事業の持続的な成長や革新につながる。
日常の経営判断はもちろん、新規事業や組織改革、人材育成などあらゆる場面で、「自分たちは洞窟の中に閉じこもっていないか?」「他者の声に耳を傾けているか?」と問い直すことで、よりよい道へ脱出できるはずです。
哲学とAIは相性がよいですね
よりよく生きる、ということをChatGPTo1に考えてもらいました
ChatGPTの「o1」は推論ができます。考えることができるので、哲学との相性は抜群です。
上記の記事は、今回の哲学講座を受講したあとで、自分の考えをまとめる意味でChatGPTの「o1」と対話したことを記録したものです。なかなか秀逸な回答だなと感心しています。
この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
小規模事業者や中小企業を対象として、経営戦略立案とその後の実行支援、商品開発、販路拡大、マーケティング、ブランド構築等に係る総合的なコンサルティング活動を展開しています。実際にはWEBマーケティングやIT系のご依頼が多いです。
民民での直接契約を中心としていますが、商工三団体などの支援機関が主催するセミナー講師を年間数十回担当したり、支援機関の専門家派遣や中小企業基盤整備機構の経営窓口相談に対応したりもしています。
保有資格:中小企業診断士、情報処理技術者など
会社概要およびプロフィールは株式会社ドモドモコーポレーションの会社案内にて紹介していますので興味ある方はご覧ください。
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