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中小企業白書2014年の特徴はクラウドソーシングに多数をページをさいて詳しく説明していることだ

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中小企業白書2014中小企業白書2014年版が中小企業庁のWEBサイトで公開されている。ほぼ全文をPDFで読むことができるのがありがたい。今年の中小企業白書は印刷版の表紙に関して、中小企業経営者の顔写真を多数掲載する企画がある。まだ募集しているので興味ある方は応募してみてはどうだろう。
さて、今年の中小企業白書の最大の特徴は「クラウドソーシング」を大きく取り上げていることである。クラウドソーシングとは、インターネットを介して新たなビジネスのマッチングと受発注を行う新しい雇用および取引の関係である。群衆(crowd)と業務委託(sourcing)を組み合わせた造語だが、昨年あたりから急成長しておりWEBの新しく大きな潮流になっている。このクラウドソーシングやクラウドファンディングなどで100ページを超える大量の記述があった。

以下は中小企業白書の第三部「第5章 新しい潮流-課題克服の新しい可能性-[PDF]」のPDFから引用した画像である。

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これまでの取引の弱点は、発注する側と受注する側(デザイナーやエンジニア)が直接やり取りをする機会が少なかったことである。両者を取り持つ役割は主に広告代理店や印刷会社などの営業部門を持った企業が担っていた。このしくみのままでは、多様化する細やかなニーズや低価格化志向などに対応しきれないという問題があった。企業側が持つ微妙なニュアンスのニーズがデザイナーやエンジニアなど実際に制作する人に伝わらず、何度も修正作業が発生し、そのことが製作期間の長期化を招き、コスト高や互いのモチベーション低下を生む要因にもなっていた。さらに広告代理店や印刷会社も両者の間に入りクレーム処理に追われるということもたびたびあった。

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クラウドソーシングは、中間業者であった広告代理店や印刷会社の機能をクラウドが担うということである。発注者と受注者のやりとりはすべてクラウドソーシング業者のWEBサイトで行われる。

クラウドソーシングの類型には大きく三種類がある。プロジェクト型、コンペ型、マイクロタスク型の3つである。とくにニーズが多いのはコンペ型ではないだろうか。発注側にすれば、ロゴの作成やチラシ(フライヤー)、DM等の作成など、クリエイティブな複数の案を求めるときにとても有効である。

例えば、予算1万円で新商品のロゴマークを提案してほしい場合など、クラウドソーシングのWEBサイトにコンペ形式で依頼をかけると複数の提案が集まってくることが多い。事前の情報や要望が明確であればあるほどよい。製作者側も、複数のコンペ案件の中から製作時間があるときに、自分が採用されそうな得意な案件だけ応募すればよいので働き方としても柔軟で融通がきく。間を取り持つクラウドソーシングのWEBサイトは成約金額から一定の手数料が入る。まさにWEBを介した三方良しの世界なのである。

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クラウドソーシングを活用して、ロゴ製作やWEB制作を発注した中小企業者の満足度は非常に高い。これまでも発注者側を中心に複数件のクラウドソーシングの利用を支援してきたが、おおむね「使って非常によかった」という感想をいただいている。
また、実力あるITエンジニアやWEBデザイナーからも、働き方が柔軟で融通が効くのがいいという評価を聞く。子育てママさんができる範囲で仕事を受注したり、才能ある学生がアルバイトとして制作を受注したり、開業したてで得意先が少ない時の創業者のスタートアップに貢献したりと、受注側の多様なニーズにも適合している。

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このような状況から、クラウドソーシングはますます増えていくだろう。数年以内に事業規模は1000億円を超えると推測されている。

現在、日本最大級のクラウドソーシングといえば「クラウドワークス(http://crowdworks.jp/)」だろう。クラウドワークスというのは社名であるが、クラウドソーシングの代名詞的な使われ方をしているのも特徴だ。これからのクラウドソーシングに注目である。

なお、2014年の中小企業白書のPDFは「http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H26/PDF/h26_pdf_mokuji.html」から閲覧することができる。

第1部 平成25年度(2013年度)の中小企業・小規模事業者の動向

第2部 中小企業・小規模事業者が直面する経済・社会構造の変化

第3部 中小企業・小規模事業者が担う我が国の未来

第4部 中小企業・小規模事業者の支援の在り方