「なごり雪」と聞いて、まず思い浮かべるのは、やっぱりあの名曲ですよね。1975年にイルカがカバーして大ヒットした楽曲『なごり雪』。切ないメロディーと情感あふれる歌詞で、多くの人の心に残る一曲になっています。作詞作曲はかぐや姫の伊勢正三さんです。
しかし、実はこの「なごり雪」という言葉、もともとはなかった造語だったって知っていましたか?
今回は、そんな「なごり雪」の言葉のルーツや、文化的な広がりについて、ちょっと深掘りしてみます!
「なごり雪」という言葉の誕生
「なごり雪」の深い話──曲名の由来と文化的な広がり
もともと日本語には「名残の雪(なごりのゆき)」という表現がありました。これは、 春先まで消え残った雪 や、 季節外れの雪 を指す言葉で、江戸時代から俳句や文学の世界で使われてきました。たとえば、松尾芭蕉の『奥の細道』にも「名残の雪」が登場します。
そんな伝統的な言葉を少しアレンジして、新たな響きを持たせたのが「なごり雪」です。作詞・作曲を手がけた伊勢正三さん(当時はかぐや姫のメンバー)は、1974年の楽曲制作の際に、あえて「名残の雪」から 助詞の「の」を取り除き、ひらがな表記にする ことで、より やわらかく、歌のリズムに合う表現 に仕上げました。
当時は「日本語の乱れだ!」と批判する声もあったそうですが、楽曲の大ヒットによって「なごり雪」という言葉は広まり、やがて 日本語として定着 することになります。
「なごり雪」はいつの間にか“正式な言葉”に
1975年の楽曲ヒット以降、「なごり雪」は大衆の中で普通に使われるようになりました。しかし、驚くべきことに、気象用語として正式に認められたのは 2013年 のこと。それまでは辞書にも載っておらず、あくまで「歌のタイトルとして有名な言葉」だったのです。
2013年、日本気象協会が「季節のことば36選」を選定する際に、「なごり雪」が正式に採用され、 気象用語としても認められる ようになりました。つまり、 伊勢正三さんが生み出した造語が、40年近い時を経て、正式な日本語になった ということなんです!
「なごり雪」の文学的な影響
実は、「なごり雪」という言葉の定着には、1970年代の 文学の影響 もありました。伊勢正三さんが楽曲制作の際に影響を受けたとされるのが、 立原正秋の小説『残りの雪』(1973-74年)。この小説では、不倫関係の終わりが 春の降雪 に重ねて描かれています。
また、1983年に発表された宮本輝の小説『錦繍』では、登場人物が「なごり雪」の歌詞に思いを馳せるシーンがあり、 日本人の郷愁を象徴する言葉 としての「なごり雪」が描かれています。こうした文学作品を通じて、「なごり雪」という表現がさらに深みを増していったのです。
変わる気候と「なごり雪」
ところで、実際の気象現象としての「なごり雪」は、年々減少しています。例えば、東京都心では 1970年代には3〜4月に平均2.6日ほど雪が降っていた のが、 2000年代以降は0.3日 にまで減少。気候変動の影響で、「なごり雪」のような春先の雪は珍しくなってきているんです。
でも、そんな現実とは裏腹に、「なごり雪」という言葉は ノスタルジーを喚起する存在 として、ますます大切にされるようになっています。雪が降らなくなっても、「なごり雪」というフレーズが持つ情緒や郷愁は、これからも色褪せることはないのでしょう。
まとめ:「なごり雪」は、言葉の奇跡
「なごり雪」という言葉は、 もともとは存在しなかった造語 でしたが、楽曲の力によって広まり、ついには 正式な日本語になった という、まさに 言葉の奇跡 といえる存在です。
そして、音楽や文学、さらには気象用語としての採用を通じて、「なごり雪」は 単なる季節の表現を超え、人々の記憶に残る特別な言葉 になりました。
次に「なごり雪」を耳にしたときは、こんな背景をちょっと思い出してみると、より深く歌詞を味わえるかもしれませんね。
おまけ:なごり雪のコード進行はビートルズの有名曲と同じ
「なごり雪」のコード進行は「レイトイットビー」と同じです

かぐや姫の伊勢正三が作詞作曲した「なごり雪」のコード進行は、ビートルズの「レイトイットビー」とほぼ同じということを、元センチメンタル・シティ・ロマンスの告井延隆さんが話しています。このことについて調べてその真実を探ってください。
これをDeepResearchで調べてみました。その回答は以下のとおりです。興味ある方はじっくりとご覧になってみてください。ギターのコードでは、キーをDにして弾き始めるとより一層おなじコード進行で歌える、ということが実感できますよ。
以下の内容はPerplexityのDeepResearchで調べた結果です。原典を確認したい方は上記のリンク先をご覧ください。
かぐや姫「なごり雪」とビートルズ「レット・イット・ビー」のコード進行比較研究
かぐや姫の代表曲「なごり雪」(作詞作曲:伊勢正三)とビートルズの「レット・イット・ビー」のコード進行比較に関する通説を検証した。元センチメンタル・シティ・ロマンスのギタリスト告井延隆氏がライブで指摘した両曲の類似性について、音楽理論的観点から詳細分析を実施。特にAメロ部分におけるコードの共通性と差異を明らかにし、伊勢正三の創作意図に迫る。
音楽的類似性の起源
告井延隆氏の発言背景
告井延隆氏はビートルズ研究の第一人者として知られ、アコースティックギター1本でビートルズ楽曲を再現する「ひとりビートルズ」パフォーマンスで注目を集めてきた48。2016年の熊本公演では「なごり雪」と「レット・イット・ビー」のコード進行比較を実演し、両者の類似性を指摘した4。告井氏はコード進行の共通性を「音楽的引用の可能性」として提示しつつ、クリシェ進行の差異にも言及している2。
基本コード進行の比較
Key比較:
「レット・イット・ビー」:Cメジャー
「なごり雪」(原曲版):Dメジャー
(イルカ版):Fメジャーに移調
Aメロ進行:
音楽理論的検証
クリシェ進行の差異
両曲最大の相違点はベースラインの動きにある。イルカ版「なごり雪」では2小節目に「G on B」(B音をルートにしたGコード)が使用され、下降クリシェを形成2。対して「レット・イット・ビー」ではベース音がG→F→E→Dと下降する標準的なクリシェ進行を採用9。
※クリシェ進行とは、半音ずつ下がったり上がったりすることで生じる微妙なニュアンスを活かして表現力を増す手法です
終止形の比較
終止部分のコード進行:
「レット・イット・ビー」:F → C/E → Dm → G7 → C
「なごり雪」:B♭ → F/A → Gm → C7 → F
サブドミナント→トニックの流れは共通するが、イルカ版ではII-V-I進行(ツーファイブワン進行)が追加されジャズ的ニュアンスを付加10。

ここのAI解説は少しおかしいですね。
B♭ → F/A → Gm → C7 → F
をギターで5カポにすると
F → C/E → Dm → G7 → C
になります。
つまり上下のコード進行はまったく同じです。

II-V-I進行(ツーファイブワン進行)という解説があります。
なので、
F → C/E → Dm → G7 → C
を
F → Cmaj7 → Dm7 → G7 → C
というような変化をさせたということを
指しているかもしれません。
▼以下はツーファイブワン進行(II-V-I進行)についての解説です。
II-V-I進行(ツーファイブワン進行)の解説
コード進行 C → Dm → G7 → C をツーファイブワン進行(II-V-I進行)に置き換えると、以下のようになります。
キーCでのツーファイブワン進行
II-V-I進行は、「Ⅱm7 → V7 → I」という形になります。
- Ⅱm7(D minor 7): Dm7
- V7(G dominant 7): G7
- I(C major): C
したがって、ツーファイブワン進行に変えると、
Dm7 → G7 → C
となります。
つまり、元の進行 C → Dm → G7 → C をツーファイブワン進行にすると、
Dm7 → G7 → C に変わります。ただし、最初の「C」が抜ける形になるため、コードの流れを少しアレンジしたい場合は、例えば「Cmaj7」から入るなどの工夫もできます。
創作意図の考察
伊勢正三の音楽的素養
伊勢正三は法政大学在学中にフォークソング運動に参加し、洋楽の影響を強く受けた1。1970年代のインタビューで「ビートルズのコード進行研究が作曲の基礎となった」と発言しており6、意図的な引用の可能性が示唆される。
日本的解釈の革新性
告井氏が指摘する「小さい秋(中田喜直)」との類似性4は、西洋音楽理論を日本的感性で再解釈した事例と言える。伊勢はビートルズの骨格に演歌的メロディを重ねることで、新たなJ-POPの原型を創造した9。
音楽史的文脈
1970年代のコード進行借用
当時の日本フォークシーンではビートルズやキャロル・キングのコードパターンを基盤とする創作が一般的だった5。加藤和彦らも同様の手法を用いており、「なごり雪」のケースは特に完成度が高いと評価される3。
告井説の学術的評価
音楽学者・小室等は「類似性は偶然ではなく、フォークとロックの融合過程を示す好例」と分析8。ただし完全な同一性ではなく、伊勢独自のアレンジが加わっている点が重要と指摘2。
結論
「なごり雪」と「レット・イット・ビー」のコード進行には明らかな類似性が認められるが、完全な一致ではなく日本的再解釈が施されている。告井延隆氏の指摘は音楽史の文脈で正当性を持ちつつも、伊勢正三の創造的改変を見逃さないことが重要である。両曲の関係性は単なる模倣を超え、東西音楽文化の融合事例として再評価されるべき価値を有する。
今後の課題として、①1970年代楽曲のコード進行データベース化、②伊勢正三の未公開資料の分析、③告井氏の演奏解釈の楽譜化などが挙げられる。これにより、日本ポップス発展史におけるコード進行の影響関係が更に明らかになると期待される149。
告井延隆さんのひとりビートルズ
というわけで告井延隆さんが弾く「ひとりビートルズ」おすすめです。
告井延隆さんが弾く「ひとりビートルズ」のライブが石川県能美市根上のBarで開催されたときに聞いた話を思い出しながらこのブログを書きました。このときに「なごり雪のコード進行問題」をおもしろおかしく語ってくれたのが印象に残っていたからです。

というわけで、なごり雪の話がいつのまにかビートルズになってしまいましたが、御愛嬌ということでよろしくです。

この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
小規模事業者や中小企業を対象として、経営戦略立案とその後の実行支援、商品開発、販路拡大、マーケティング、ブランド構築等に係る総合的なコンサルティング活動を展開しています。実際にはWEBマーケティングやIT系のご依頼が多いです。
民民での直接契約を中心としていますが、商工三団体などの支援機関が主催するセミナー講師を年間数十回担当したり、支援機関の専門家派遣や中小企業基盤整備機構の経営窓口相談に対応したりもしています。
保有資格:中小企業診断士、情報処理技術者など
会社概要およびプロフィールは株式会社ドモドモコーポレーションの会社案内にて紹介していますので興味ある方はご覧ください。
お問い合わせは電話ではなくお問い合わせフォームからメールにておねがいします。新規の電話番号からの電話は受信しないことにしていますのでご了承ください。
【反応していただけると喜びます(笑)】
記事内容が役にたったとか共感したとかで、なにか反応をしたいという場合はTwitterやフェイスブックなどのSNSで反応いただけるとうれしいです。
遠田幹雄が利用しているSNSは以下のとおりです。
facebook https://www.facebook.com/tohdamikio
ツイッター https://twitter.com/tohdamikio
LINE https://lin.ee/igN7saM
チャットワーク https://www.chatwork.com/tohda
また、投げ銭システムも用意しましたのでお気持ちがあればクレジット決済などでもお支払いいただけます。
※投げ銭はスクエアの「寄付」というシステムに変更しています(2025年1月6日)
※投げ銭は100円からOKです。シャレですので笑ってください(笑)