「成長投資が導く2040年の産業構造」という資料を経済産業省が2025年4月に公開しました。万博の「null²(ヌルツー)」パビリオンで一躍有名になった落合陽一さんも、この策定に関わったとされています。資料では民間活力の重要性が述べられており、私たち中小企業も「成長」という視点に切り替える必要があります。
特に重要なのは、経営者自身がマインドセットを変えることだと感じています。
経済産業省が示す2040年の「新機軸」と中小企業経営者が取るべき行動とは?
経済産業省は2025年4月、「成長投資が導く2040年の産業構造」と題した重要な資料を発表しました。
この資料では、2040年までに日本経済を持続的に成長させるための「新機軸ケース」を示し、これまでの縮小・コスト削減中心の経済から、投資拡大と賃上げを中心とする「成長型経済」への転換を呼びかけています。
本資料は、2040年に向けて日本が目指すべき産業構造を提示したもので、主に以下の課題とその解決策を提示しています。
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国内投資と賃金の潮目の変化:長期停滞からの脱却が進むが、まだ物価高や人手不足という課題がある。
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交易条件の悪化:輸入品は高価で輸出品が安価な現状を改善し、実質賃金を引き上げる必要がある。
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2040年の新産業構造シナリオ:「人口減少下でも豊かになれるシナリオ」を示し、高付加価値化とイノベーションを通じた国内投資の拡大が鍵となる。
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重要な政策方針として、GX(グリーントランスフォーメーション)とDX(デジタルトランスフォーメーション)への大規模な投資、産業構造転換、人材育成の再編などが挙げられている。
詳細は以下のPDFにてご覧になってみてください。
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/shin_kijiku/pdf/027_02_00.pdf
以下では、このPDFの内容を要約し、特に「新機軸」に注目して中小企業経営者が重視すべき視点でリライトしました。ぜひご覧になってみてください。
「新機軸ケース」とは何か?
新機軸ケースとは、これまでのような「節約型・縮小型の経営」ではなく、「積極的な投資」と「付加価値の向上」を軸に、経済規模を拡大させるシナリオです。具体的には次のような効果を目指しています。
- GDP(経済規模)の年平均成長率:名目約3.1%、実質約1.7%
- 賃金(給料)の年平均上昇率:名目約3.3%、実質約1.3%
- 労働生産性(仕事の効率性)の年平均向上率:名目約3.7%、実質約2.3%
これにより、日本経済は人口減少の中でも縮小することなく、持続可能な成長を実現できるというものです。
中小企業経営者こそ「マインドセットの転換」が必要
しかし、この新しいシナリオの実現には、政策や外部環境だけでなく、中小企業経営者自身の意識改革が極めて重要です。なぜなら、企業の実際の変革は、経営者の意識と行動から始まるからです。
これまでは、特に中小企業においては、コスト削減や守りの経営が主流でした。これからの時代は、その意識を大胆に変える必要があります。
具体的には、次の3つの意識改革が求められます。
「縮小思考」から「成長思考」へ
コスト削減に固執することをやめ、積極的な投資によって付加価値を生み出す考え方に切り替えることです。今後は、「いかにコストを削るか」ではなく「いかに新たな価値を創出し、利益を増やすか」を考える必要があります。
短期利益追求から中長期投資への視点
短期間の利益にとらわれず、中長期的な成長戦略を描くことが大切です。経営者が明確な中長期ビジョンを持ち、それを従業員や取引先と共有しながら経営を進めていく姿勢が重要です。
「現状維持」から「革新・挑戦」への転換
失敗を恐れ現状を守るだけではなく、新しい挑戦や革新を積極的に取り入れる企業文化への転換が必要です。失敗を「学びのチャンス」として捉えるマインドセットが求められます。
経営者が実践できる行動変容の具体例
では、具体的にどのような行動変容を取るべきでしょうか?以下にすぐに実践できる具体例を紹介します。
デジタル化(DX)への積極的投資
- ペーパーレスや業務のクラウド化による効率化
- ECサイトやオンライン販路の開拓
- キャッシュレス決済など顧客利便性の向上
付加価値を高める商品・サービスの開発
- 他社との差別化を明確にした商品開発
- 地域資源や独自技術を活用したブランディング
従業員のスキルアップと人材育成
- オンライン研修の導入や外部研修参加への支援
- デジタル技術習得や業務改善に関するリスキリング(再教育)の推進
他企業・異業種との連携強化(オープンイノベーション)
- 異業種交流会やビジネスマッチングイベントへの積極参加
- 地元の大学・研究機関との共同研究やプロジェクト推進
経営スタイルの革新
- 社内の意思決定プロセスを見直し、「対話型マネジメント」を推進
- 社員と積極的に経営情報を共有し、透明性と一体感のある組織文化を構築
まとめ:中小企業の未来は経営者のマインドセットにかかっている
経済産業省の提示した新機軸ケースは、単なる政策提言にとどまりません。日本経済の未来を決定づける重要な方向性であり、それを実現できるかどうかは、中小企業経営者一人ひとりのマインドセットと行動にかかっています。
中小企業経営者が意識を変え、成長に向けた積極的な行動を起こすことで、企業だけでなく地域経済、そして日本経済全体が活性化し、持続的な成長が可能となります。
今こそ、新しい時代に向けたマインドセットを持ち、具体的な行動に踏み出しましょう。

この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
小規模事業者や中小企業を対象として、経営戦略立案とその後の実行支援、商品開発、販路拡大、マーケティング、ブランド構築等に係る総合的なコンサルティング活動を展開しています。実際にはWEBマーケティングやIT系のご依頼が多いです。
民民での直接契約を中心としていますが、商工三団体などの支援機関が主催するセミナー講師を年間数十回担当したり、支援機関の専門家派遣や中小企業基盤整備機構の経営窓口相談に対応したりもしています。
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