4月30日に発表された持続化補助金の採択事業者と事業内容の一覧を見るとある特徴がわかる。ほとんどが「◯◯という経営戦略を実施するために、△△という販路拡大策を実施する」という書き方になっている。30文字以内という成約でそこまでこれを表現するかが重要なポイントである。やる気が感じられ訴求力ある事業内容にしなければならない。一方、不採択になった事業者の場合はここが弱い。経営戦略の◯◯の部分を書かずに、△△という販路拡大策だけを書いて不採択になっている場合が多い。たとえば、「折込エリアを倍にしてチラシ投下量を増やすことによる新規来店増加」だったり、「スマホ対応のWEBサイトにリニューアルすることによりスマホユーザーからのアクセス増加」だったりという書き方である。このような手段や対策案だけを書く場合は不採択になる可能性が高くなるだろう。
そもそも経営戦略が重要なのである
そもそも論であるが、経営戦略が重要なのである。持続化補助金が、なんのための補助金かというとをあらためて考えてみるといい。持続化補助金は、小規模事業者が販路拡大をするために必要な経費の一部を補助するものである。では販路拡大ならなんでもいいのか、というとそうでもない。その企業の経営方針に沿って販路拡大するためには戦略的な取り組みが必須なはずである。その経営戦略をもとに展開する販路拡大策に対しての補助なのである。
経営戦略は未来を指し示すものである。実現したい自社の方向性を表すものである。数年後に達成したい自社のビジョンを達成するためになにをどうすべきかというのが戦略である。
一方、販路拡大策とは販促手法である、今なにをすべきかという具体的なものである。販売戦術という言い方もできるだろう。持続化補助金は販売戦術に対する補助であるが、なぜその販路拡大策を行うのかという妥当性は「経営戦略」にある。
つまり、経営戦略が明確でなければならない。その経営戦略はどこに記述するかというと、様式2の経営計画書である。
経営方針・目標と今後のプランをきちんと書く
様式2の経営計画書の4番めにある「経営方針・目標と今後のプラン」の部分が非常に重要である。ここに経営戦略を記述する。長文にしなくてもいいが、必要最低限の説明は必須である。
書き方の工夫として「経営方針・目標と今後のプラン」を3つにわけて書くとわかりやすくなる。つまり、1経営方針、2目標、3今後のプランというように小見出しをつけて書くのである。お役所が用意する申請書にはちゃんとそれなりの理由があるし、また採点する審査員の読みやすさも考えると、この手法はおすすめである。
今後のプランで記述したことをさらに詳しく説明するのが様式3の「補助事業計画書」になる。補助事業計画書は具体的な販促や販路拡大策を記述することになる。
「◯◯という経営戦略を実施するために、△△という販路拡大策を実施する」の◯◯の部分は様式2に書き、△△の部分は様式3に書くというように理解するとわかりやすいかもしれない。
▼採択された事業者の記入例
この記入事例はシンプルである。おそらくこれくらいの記述量は最低限度必要だろう。このサンプルよりも記述量が少ない場合は、審査員も戦略の意図をはかりかねるということで不採択になる確率が高くなるのではないだろうか。
もしも、一次に採択されなかった場合は、もう一度申請書を見なおしてみよう。また、これからの二次募集に応募する場合は上記のことを留意して記述することをおすすめする。
ミラサポで持続化補助金の経営計画の重要性を指摘
ミラサポという中小企業支援サイトでも持続化補助金について解説がされている。
申請のポイントは「経営計画書」を作成することです。一人で作成するのではなく、所属する商工会・商工会議所の経営指導員に指導・助言を受けて、一緒に計画を練ることが出来ます。補助金申請に必要な「経営計画書」作成は、自社のこれまでの事業を見直すきっかけともなります。補助金をきっかけに決算や棚卸などを見直し、「経営計画書」にまとめることで、多くの気付きがあると思います。
「経営計画に基づいて実施する販路開拓等の取り組みに50万円を」という記述のとおり、経営計画あっての販促策ということである。
http://www.mirasapo.jp/features/subsidy/vol6/2/
上記のURLでは事例も紹介されているので、二次応募するさいは目を通しておくのがいいだろう。
この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
小規模事業者や中小企業を対象として、経営戦略立案とその後の実行支援、商品開発、販路拡大、マーケティング、ブランド構築等に係る総合的なコンサルティング活動を展開しています。実際にはWEBマーケティングやIT系のご依頼が多いです。
民民での直接契約を中心としていますが、商工三団体などの支援機関が主催するセミナー講師を年間数十回担当したり、支援機関の専門家派遣や中小企業基盤整備機構の経営窓口相談に対応したりもしています。
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