富山県小矢部市に7月オープンした三井アウトレットパーク小矢部に行ってみた。アウトレットパーク小矢部は先月オープンしたばかり。本日は平日だが8月末で夏休み最後の日ということもあり、午前中のうちからお子様連れや家族連れの姿も目立った。昼前にはかなりの来店客で平日でも人の入りはまあまあよさそうだ。駐車場を見ると金沢ナンバーが多く富山県よりむしろ石川県からの来店が目立つ。
店の作りは大きな1つの建物内に閉じられた大空間になっている。先週行った倉敷のアウトレットパークは分棟方式で公園と一体化した開放的空間だったのに比較すると地域性がうかがえる。晴れの国「岡山」に比べると降水量が多く冬は雪の心配がある北陸では開放的な空間よりもこのようにひとつの建物内で完結するほうがいいだろう。
店内はブランド品の小売店が多い。ただし、アウトレットといってもそれほど安くはない。高級ブランドや昔から馴染みのあるブランドの商品だが、アウトレット用に作られたり、数年前の型落ちだったりというような商品が目立つ。3割引、5割引というディスカウントを前面に打ち出しているショップはほとんどない。むしろ、日常より一クラス上の高級感を醸し出しているように見える。
また、理美容やサロンなどサービス型の店舗もないし、スーパーマーケット、書店、映画、スーパー銭湯もない。ディスカウントを連想させる電気店もないという専門店街の構成になっている。
飲食街はフードコート形式のみ。単独型のレストランはない。
店内では無料のwifiが開放されている。メールアドレスの登録をすると30分使えるしくみになっていた。
iPhoneでwifi接続すると上記のような画面が表示される。
このような店舗構成や運営の状況から察すると、アウトレットパーク小矢部が狙っているポジショニングは、倉敷のアウトレットパークが狙っている客層とは違うのかもしれない。
フェイスブックでチェックインしてみるとすでに5538人がチェックインしていた。そのうち友達が32人。これは開店して1ヶ月後の商業施設としては思ったよりも多かった。オープンして1ヶ月経過し順調に集客できているのだろう。
※グラフの出典はhttp://www.energia.co.jp/eneso/keizai/research/pdf/MR1306-2.pdfより
アウトレットパークは第三次の成長局面に入っているといわれている。2010年に軽井沢のアウトレットパークに行ったことがあるが、新幹線の駅裏にとても広い敷地で公園のようだった。これまでのアウトレットモールは倉敷のようなオープン型だったが、小矢部のような大きな建屋ひとつというタイプが今後増えていくと見られている。その意味では、小矢部型のアウトレットパークが成功するかどうかはリトマス試験紙的な役割がある。
しかし、北陸での初期来店客のほとんどはミスマッチを感じていたのではないだろうか。
「安さ」を期待して来店した消費者は多かったはずである。実際に三井アウトレットパーク小矢部に来てみると「安くはない」現実がある。たしかに一クラス上の高級感ある専門店街構成にはなっているが日常の買い物ではないものばかりである。スーパーも書店も電気店もないので、ふだんはこないだろう。そのわりに飲食コーナーはフードコートのみというのは少し安っぽくミスマッチ感がある。ちょっとこじゃれたレストラン街にすべきではなかったのだろうか。
物珍しさによる来店が一巡した後にリピータの来店がどれほどあるのかがポイントだろう。北陸にアウトレットパークが根付くのかどうか、今後の動向に注目したい。
この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
小規模事業者や中小企業を対象として、経営戦略立案とその後の実行支援、商品開発、販路拡大、マーケティング、ブランド構築等に係る総合的なコンサルティング活動を展開しています。実際にはWEBマーケティングやIT系のご依頼が多いです。
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