手書きポップが目立つ。これはJR金沢駅構内にあるセブン-イレブンの店頭である。陳列されている「ビーバー」というお菓子は地元金沢で長年親しまれている袋菓子。生産量も限られているため、エリア限定での商品陳列だろう。だからチェーン本部から印刷配布されるようなポップは無いはずだ。そこで「手書きポップ」となる。
しかし、セブン-イレブンは日本を代表するビッグデータ活用企業であり、極めてデジタル思考が強く論理的な意思決定をすることでも有名だ。いくら地域限定商品でもこのようなアナログなポップを出すことはないだろうと思っていたので、ちょっとびっくり。
陳列された商品をよく見ると、北菓のビーバーの2つ横にある「ラングドシャホワイト」はセブンのオリジナル商品である。これも手書きポップが添えられている。
となると、地域限定商品だからポップがない=店員さんがアナログでポップを書く、という単純な図式ではなさそうだ。
店員さんに聞いてみると、このポップは「自分たちで書いています」と少し恥ずかしそうに答えてくれた。おそらく、店員さんたちの裁量で、推したい商品のポップを書くことはOKなのだろう。店員さんの個性を出してもいいのならとてもアナログ的だ。
ここにセブン-イレブンの強さを感じた。
セブン-イレブンは「オムニセブン」というサイトで、店頭引取りモデルの通販を始めている。この取り組みは「オムニチャネル」の具現化ということで各業界から注目されている。物流を自前で構築しているセブン-イレブンの強みをより活かす「店頭引き渡し」は、利用者にも利便性が高い。
通常の通販モデルは自宅配達で送料がかかる。オムニセブンで注文した商品を自分が指定するセブンイレブン店舗で受け取ると送料は無料。しかも、留守がちな自宅に届けてもらうよりも、自分の都合で取りにいけるのは具合がよい。ついで買いもしやすく、店と利用者がWIN-WINの関係になっている。
セブン-イレブンは、デジタルでもアナログでも強さを発揮しているようである。
ニュースなどで伝えられているオムニセブンの状況は順調なようだ。
オムニセブンで注文した商品の受取場所は「自宅」か「セブンイレブン」で選べる。当初の想定では半数程度セブンの店舗受取りを選択すると見られていた。実際は8割がセブンイレブンでの受け取りを選んだ。とくに女性はほとんどがコンビニ受け取りを選択しているようである。しかも受け取りのために来店した後、約6割が10分以内に食料品などを購入している。客単価は通常の来店客の500~600円よりも約100円高い。これは、電子マネー「nanaco(ナナコ)」の会員がオムニセブンの利用者に多いこととおおいに関係している。
さらにオムニセブンの強みは「返品交換が無料」。セブンイレブンの店頭で商品を受け取った後に、サイズが違うとか思っていた色と違うとかという理由で返品した場合の手数料が無料なのである。返品手続きをネットで行いセブンイレブンの店頭で返品すれば、その場で現金が返金される。この返品保証の期間はなんと180日間もある。
楽天やアマゾンのネット通販大手と比較されるが、オムニセブンの利用シーンや客層・ニーズはずいぶんと違うかもしれない。1時間配達のアマゾンも魅力的だが、実店舗でのやりとりができるセブンイレブンのほうを選ぶ女性消費者が増えそうである。
今後、ますますオムニチャネル化は進んでいく。セブン-イレブンの動向には要チェックである。
この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
小規模事業者や中小企業を対象として、経営戦略立案とその後の実行支援、商品開発、販路拡大、マーケティング、ブランド構築等に係る総合的なコンサルティング活動を展開しています。実際にはWEBマーケティングやIT系のご依頼が多いです。
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